2020年4月 9日 (木曜日)

政府「まず最大限自衛せよ」、国民「指示通りにするから不労所得おくれ」の無益なやりとり

緊急事態宣言は出されたものの、具体的な営業制限や補償の話は進展がない点に苛立ちを隠せない方がたくさんいます。しかし、そうした方は政府のメッセージと、「補償乞食」になる前になすべきことを見返してみるべきと思います。
緊急事態制限に強制力がないのは、歴史の反省から権力(私権制限)が大きくなりすぎないよう配慮したものです。要は緊急事態下でも憲法上の自由は原則であり、この自由を過度に制限することは政府でもできないようになっています。普段「自由」を主張する以上は、この仕組みは素直に受け入れるべきで、自由であるということは、自分の身は自分で守ることもまた原則で、感染のリスクの高いところにはいかないという判断は、命令で行うのではなく、自分ですべきです。
政府が、「この1週間の感染増大は主に3月の3連休に油断して外出した人たちによるもので、この観点からもまず各自がしっかり自衛しなければならない」というメッセージを裏にこめていることは明白です。
もう1つ政府が補償の判断が遅れているのは、五輪延期に伴う追加費用の試算が完了していないからでしょう。この費用が想定外に膨らむ可能性がある以上、うかつに補償を気前よくやってしまうわけにはいかない点で、諸外国よりも、緊急事態制限と補償の判断が遅くなっていると考えられます。
要は、国家としてこれから支出がどんどん増えるけれども、安易に増税したくないから、まずは各自で最大限自衛して損害軽減に努めてほしいというのが政府の意図。これに対して、この状況下で思うように活動できない人が、その不自由の原因を政府に求めて、「命令にしたら受け入れるから不労所得をくれ」と言っている構図。いつまでこの堂々巡りをするのでしょうか。これは天災です。まずは、各自で立て直しを図る、すなわち、余計な出費を最大限に抑えて、生活に必要な最低限の金銭を確保し、不足するならばまずは借入で当面対応する。そのうえで、将来的にリスクのある業種は早めに見切って、今できる仕事に方向を転換していく、という努力が不可避です。
おそらく、無制限の補償は、本当に生活が厳しい低所得者層と、感染拡大防止のために直接制限が必要な業種に限定されます。「もうコロナ疲れた」とか、「補償がないとやる気がでない」などと下を向いている場合ではなく、まずは各自が最大限自衛すべき時期なのではないかと思います。

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2020年4月 2日 (木曜日)

自粛要請の意味

自粛要請に対して「倒産しろというのか」という主張をする人がいますが、この主張は的外れです。今日は自粛要請の内容を整理していきたいと思います。自粛要請は当然、禁止命令ではなく、自発的に自粛してほしいというお願いであるため、従う義務はありません。しかし、不特定多数の人を室内に集めることには合理的なリスクがあるため、「比較的体力のある中規模以上の組織」は社会責任として率先して自粛に応じるべきです。これに反して著名人や大手団体がイベント等を強行しようとした場合は、大きな社会的非難を受けてしまいますが、それはルール違反を批判されているのではなく、社会責任を果たさずに自分さえ利益をあげればよいのか、という指摘の面が大きいでしょう。
これに対して、比較的体力のない小規模事業者、営業しないと社員に給料を払えず倒産してしまう、というような業者は営業する以外の選択肢はありませんし、これを批判する人もほぼいないと思います。
飲食店等に営業自粛を求めつつ、利用者にも自粛を求めるのはやはり飲食店を倒産に追い込んでいる、という意見もありますが、まず、営業自粛お対象は主に深夜営業の、バーやカラオケなどのサービス産業で、生活に必要な飲食店に対する規制ではありません。こうしたサービスは食事と異なり、必ずしも現在必要なものではないため、必然的に季節的な売上の変動があります。短期間の売上の変動は小規模事業者でも当然織り込んで事業計画を立てているはずなので、今しばらくは景気が底の時期であると考えて耐えてほしい、というのが最近の自粛要請の内容です。
また、利用者に対する自粛要請でもこれに応じない層からの一定のお客は存在し、中規模事業者以上が営業自粛し、体力のない業者だけの市場でのパイの取り合いになるのであれば営業努力で最低限度の売上を確保することが可能ではないかという視点もあるかと思います。
補償の話は当然国会で検討されているはずですが、補償するということは将来の増税があるということ。誰からどれほど税金を多く徴収し、それをどこに回すかはしっかり検討されるべき論点で多少の時間を要します。
まとめると、今の自粛要請で求められていることは、将来の増税を抑えるために、
・体力のある業者は今は我慢して、その我慢する姿で社会責任を果たしていることを訴求する
・体力のない業者は営業してよく、少ないが競業も減った市場でうまく工夫して生き延びる
・バーやカラオケの利用者は、自己責任で利用してもよいが、その責任は自分の身体だけでなく、電車等で近くにいる高齢者等にまで及ぶという自覚が必要
といったところでしょうか。誰も破産や死など求められていません。今の立場と状況に照らして、テレビでの通りいっぺんの説明にかかわらず、何を我慢して何はやってよいのか、しっかり考えることが今すべての人に求められています。

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2020年3月26日 (木曜日)

どうなる?東京五輪チケット~東京マラソンとの違い

東京五輪の延期が決まり、そのチケットの行方が不安視されています。このチケットの行方については、まずはチケットの購入・利用規約を見ると、「不可抗力」の場合には組織委員会は不履行の責任を負わないとあり、不可抗力の例として、「公衆衛生に関する緊急事態」があげられていますので、今回のコロナ騒動は、この「公衆衛生に関する緊急事態」に該当し、組織委員会は「不履行の責任を負わない」こととなります。
ここは、東京マラソンと違う点の1つ目であり、東京マラソンでは、不可抗力の場合は返金され、不可抗力ではないと解釈されたため返金されない結果となりました。不可抗力の場合返金されるのは保険が下りるからであり、保険がおりる対象として、地震等の一定の災害に限定していたため、コロナは返金の対象外となりました。
東京五輪については、不履行の責任は組織委員会は負ってくれませんが、東京マラソンとの2つ目の違いとして、東京マラソンの一般レースは中止になったのに対して、東京五輪は延期であり、開催はされるという点があります。今後状況がさらに悪化して五輪が中止になればチケットの返金を受けるのは困難と想定されます。
そこで次の注目点はこの「延期」による責任範囲で、組織委員会が追わない責任範囲である「不履行」とは、予定された期日に競技が開催されないことについての責任であり、将来開催される競技への入場を認めることで返金責任は負わないと解釈することができます。中止直後の会見でも言及されていましたが、基本路線は、変更された日程のチケットが従前の当選者に送付されて、延期についての賠償責任はなし、という方向になると思われます。
しかし、延期された日程がいつになるかで、当然、観戦に行けない人は多く発生すると見込まれます。ここで、東京五輪チケットは転売・払い戻し不可となっていますので、観戦に行けない人にとっては新チケットをもらっても紙屑という事態に陥ります。この点については何らかの救済が必要と思われ、「新チケットをキャンセルし現金返金を受ける」という選択肢が現実的だと考えますが、規約上、法律上当然すべきとする理屈はなく、組織委員会の判断次第となります。通常であればこの措置はなされるものと思いますが、延期に伴う費用が膨大化したり、人手不足が深刻化した場合などには、返金処理を行えないという結論になるかもしれません。
当面は、コロナの早期収束と、延期に伴う増加費用が大きくならないことを祈り、組織委員会が、新チケットの払い戻しに応じてくれることを願うばかりです。

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2020年3月19日 (木曜日)

仕入を重視しよう

利益をあげようとする際、どうしても売上をどう増やそうかを重視して考えますが、今の時代、売れるものは勝手に爆発的に売れ、売れないものを無理に売ろうとしても返品リスクなど余計コストがかかってしまいます。ですので、重視すべきは「よいもの」をいかに仕入れるかです。
一番わかりやすい例はユーチューバー。大多数のユーチューバーは顧客ニーズを無視して自分が表現したいことを表現しているだけです。その、いわば「自分の絵日記」をどうすればアクセス数が増えるかと悩んでももともとニーズのないコンテンツを、広告でアクセスを増やしたところでたかがしれています。ユーチューバーを続けるコツは、視聴者が面白いというネタをいかに継続的に仕入れるかで、このようにまとめると芸人と似た要素があるのかと思います。
企業はヒット商品を産む必要がある点では同様に、顧客ニーズを満たす「売れる商品」探しに力を入れる必要があります。さらに、組織体制を維持・拡充するためには人材の仕入にも注力が必要で、最近では自社サイトでの求人広告ではあまり良い採用活動ができないため、優良の職業紹介サイトなどの活用が大きくなっています。
売りにくいものを無理に売ろうとするのではなく、売れるものを徹底的に選別して一気に販売することが利益をあげるためのセオリー中のセオリー。そのためには、幅広い人脈を持ち、多様な情報を適時に得られるよう心掛けることが非常に重要です。

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2020年3月12日 (木曜日)

カニバリゼーションと大通り沿いにご注意を

コンビニの倒産が増加傾向にあります。理由はいろいろとあるとは思いますが、最大の原因は各グループのトップマネジメントはグループ同士のシェア争いにばかり注目し、個々の店舗の立地に注意を向けていない、経営初心者のフランチャイジーに任せっぱなしであることであるように思います。
私の家の近くには、大通りを挟んで同じ系列の大手コンビニチェーン2店が並んでいました。車で通る人は道路の右にも左にも同じコンビニがあるわけです。健闘はしていましたが、最近、一方の店舗が閉店になりました。閉店の大きな理由のつが、同じコンビニ同士で客を奪い合ったことであることは容易に想像できます。このようなケースをカニバリゼーション(共食い)と言います。コンビニに限らず、最近経営不振の某ステーキチェーン店もこのカニバリゼーションで店舗減少を余儀なくされています。
もう1つ立地で大事なのは、大通り沿いはコスパが非常に悪いということ。新規出店の際、できる限り早く近隣の通行者にお店の存在を認知してほしいのはわかりますが、大通り沿いのコンビニは車の通行は多くても、駐車場がなければ入店は期待できません。それでいて大通り沿い物件は賃料が高いのでふんだりけったりです。店舗は大通りから少し入った割安物件を選んだうえで、近隣のマンション等に新聞の折り込みチラシを入れる等による地道なPRの方が有効でしょう。
とはいえ、本部がPB商品の配送の都合上、車で移動しやすい立地を指定しているのかもしれません。もしそうであれば、今一度利用者目線で立地を考え直すことが大事です。
同一チェーン同士の共食いを回避することは初歩の初歩だと私は思うのですが、そのうえで、近時、車自体は売れていないとしても、カーシェアリング等で車で移動する人は決して減っていないため、運転者に優しい立地を考えるのは大事だと思います。そう考えると、都心でも、メジャーでない通りにあり、隣にコインパーキングのある物件などは、あまり目立ちませんが非常にポテンシャルがあり、今後注目を集めていく可能性があるのではないかと思います。

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2020年3月 5日 (木曜日)

イベント中止に伴う巨額損失よりも大きい存在

政府が大型イベント自粛を求めた関係で、様々なイベントが一気に延期またはキャンセルになりました。先日、東京マラソンの記事を書いた際にも指摘しましたが、新型コロナを考慮したイベントの自粛は保険対象となる可能性は低いため、得られるべき収入がゼロとなり、これまでに発生した費用と今後発生する固定費がそのまま損失となります。延期かキャンセルかの判断は、まずは延期を先に検討するのですが、東京五輪の関係で延期先の期日で会場を抑えることが、特に東京近郊では困難なため、そうした会場をおさえることができない場合、イベント自体のキャンセルとならざるをえません。
ニュースでは損失が10億円にのぼるなどという報道もありますが、これらの損失は要は経費であり、ほぼ全額損金算入できるはずですので、正確な損失は総支出に(1-税率)を乗じた金額となるはずで、若干損失の額は小さくなるでしょう。
とはいえ、大きな損失には変わりありません。そのため、できる限りイベントは開催したかったでしょうが、政府の自粛要請で一気に風向きが変わりました。もちろん、法律ではなくただの政府の「お願い」であるため、イベントを開催することは自由なのですが、社会の流れが、「危険だからイベントは当面回避しておこう」という流れになっている中で、そうした流れに反することは、顧客のイメージ悪化につながり、イベント強硬による将来損失の方が大きいと判断されるため、より損失の小さい、直近のイベント自粛を選択するわけです。
接客対応でマスク着用の是非が、新型コロナの問題が生じる前にありました。マスクはウィルスを有する人がその拡散を回避する機能はあるが、健康な人がウィルスを回避する機能の有無については科学的に疑義があり、健康な人が着用する必要はないのではないかという見解がやや押していたように思います。しかし、今、接客対応者にマスク着用を認めない会社があれば速やかにブラック企業として情報拡散されるでしょう。それだけ、社会一般の考え方の流れが重要だということです。
この不便、いつまでも続くかもしれませんが、そうでないかもしれません。とりあえず3月下旬まで様子を見て、世界的に新型コロナ罹患者が減少に転じていけばそこで終息するはずです。とりあえずあと2週間ほどは、「事故に遭った」と考えて、目先の利益はあきらめて最善の自衛を尽くすことが個人レベルでも組織レベルでも肝要なのかと思います。

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2020年2月27日 (木曜日)

駆け込み乗車の損失を推定する

ラッシュアワーの電車の遅延は常に多くの人を悩ませます。ネットで検索すれば輸送障害時の損失を推定するサイトなどはありますが、ここでは、駆け込み乗車をする人が「これくらいええやん」と、開き直りがちな1分遅延について検討していきたいと思います。
公益財団法人鉄道総合研究所によれば、平日朝の1人あたりの1分の価値は約33円だそうです。都心を走る8両編成・1両あたり100名乗車の通勤ラッシュの電車に駆け込み乗車をすると、まず、その駅で100人/両×8両×33円=26,400円の損失が発生します。
これだけなら、「朝遅刻するわけにはいかないから、それくらいの賠償はしても駆け込み乗車したい」という人がいそうです。しかし、1分の電車遅延で困るのはその駅でその列車に乗っている人だけではありません。その先10駅あり、各駅で100名の入れ替えがあるとすると、100人/駅×10駅×33円=33,000円の損失が追加で発生します。
さらに、損害はこれだけではありません。1分遅れて乗換に間に合わなさそうなお客が、乗換先の電車に駆け込みすることで、連鎖的に被害が拡大する可能性が生じます。もちろん、駆け込み乗車の際に誰かに衝突して怪我をさせたり、より長時間の遅れを生じさせたらもっと多くの損害になりますので、こうなると、もうとても看過できる金額ではなくなります。
私が思うに、駆け込み乗車は多い反面、駆け込み下車は多くありません。ですので、ホーム落下防止ゲートのあるところでは早めにゲートを先に閉めてそれからゆっくり乗車完了を待つのがよいと思います。
駅に関してはエスカレーターで片側に乗ってはならないとか、いろいろルールがありますが、駆け込み乗車による1分の遅れでも大変な損害となることも周知されてほしいと感じます。

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2020年2月20日 (木曜日)

そのビルの使途は?

少し前までは商業施設ビルは、オーナー会社が全フロア管理し、ビルのコンセプトに沿ったお店を入れて一体感のあるビルとしていました。お客は基本的にビルのコンセプトで嗜好にあったビルに買い物に行くという選択で、この関係は売り手と買い手の意向が一致しますのでうまくマッチした手法でした。
しかし、駅前であっても老朽化したビルや、新築でも過度に高層化したビルでは、コンセプトにあったテナント集めが困難で、なかなかこの手法だけではビル経営も成り立たなくなってきたのでしょう、近時、商業ビル内に全く異業種のテナントが1フロア以上がっちり入ったり、高層階はオフィスにするビルが増えてきました。コンセプトの一貫性よりも、様々な階層の利用者がビル内を回遊することにより、集客メリットを高めているわけです。
高層ビルの上層階は、業績好調な企業のオフィスか、金持ちの別荘として需要が大きいため、今後も①高層ビルの増加②上層階はオフィスまたは居住用③中層階以下に上層階のオフィスまたは住人と、近隣居住者の共通ニーズのある商店、という構図は広がっていくと予測されます。
この傾向をふまえ、タワーマンションの今後も占ってみます。すでに供給過剰と言われているタワーマンションですが、今後も市街地にまとまった土地が空いた場合、タワーマンションがどんどん建築されていくでしょう。廃校となった学校跡地は格好のターゲットですが、自社ビルを保有していた企業が土地を売却し、高層ビルの上層階に賃貸で移転する手法が、節税と資金繰りの王道であり、今後さらに増える可能性があるからです。
こうしてタワーマンションが需要を超えて建築されると、商業ビル同様全戸完売することは今後どんどん大変になり、差別化戦略が必要となります。そのヒントも上記の商業ビルの移り変わりにあります。中層階以上の居住者と近隣住民の共通ニーズのある店舗を入れることです。
正直、市街地のマンションの低層階はプライバシー確保が難しくあまりニーズはありません。駐車場としているマンションは多いものの、車離れから、駐車場の過剰が共益費高騰を招いているマンションもあります。ですので、タワーマンションの低層階はまず店舗化がすすんでいくでしょう。
具体的には1階はコンビニか薬局。2階より上にフィットネスジムや、歯科・眼科などの使用頻度の高い医院、さらには介護施設なども入るかもしれません。
逆に駐車場スペースは減少し、駐輪場は1階にあってほしいというニーズが大きいことから、建物1階にスペースを確保できなければ近隣の空き駐車場1階あたりに移設されるかもしれません。
こうなると、もうビルやマンションとしての個性は失われます。しかし、これが今あるビルやマンションと差別化する手法。個性というのはそれを感じたときは強烈なインパクトがある反面で、時の流れとともに失われるものだとよくわかります。

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2020年2月13日 (木曜日)

転売屋対策のカギはマイナンバー

この大変な時期にマスクを買い占めてネットで高値で転売する輩がいます。これは現行法上対策は困難です。売れるものを安値で仕入れて高値で売るのは商売の基本ですし、生活に大事な物資の販売を許可制や専売制にすると逆にその物資が十分に行きわたらない可能性が生じます。
マスクだけでなく、スポーツ観戦のチケットもそうですが、こうした転売屋をなんとかしなければいけない風潮は高まっています。そこで、有効と思われるのが、ネットでの転売にマイナンバー登録を必須とすることです。この案は2つの部分から転売屋にプレッシャーをかけることが目的です。
まず、マイナンバー登録で必ず本人にたどりつける状態にしておくと、転売賞品に問題があった際に瑕疵担保責任の追及が現実的に可能になります。これだけで売主には相当なプレッシャーになりますし、おそらく事後的にいちゃもんをつけて売買契約の取消をする買主もでてくるでしょう。そうすると、ネット転売のうまみは大きく減殺されます。
次に、マイナンバー登録により、税務署が容易に転売人にたどりつえkるようになります。おそらく確定申告をしていないであろう転売人がしっかり所得税を徴収されるのであればやはり転売のうまみは減殺されます。
現状、ネット転売は社会に何もプラスを生じないただのただ乗り商法です。法律で規制が困難である以上、システムを工夫して対策が講じられてほしいものです。

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2020年2月 6日 (木曜日)

ポイ活の穴

木曜日は、経済ニュースを、法律・会計・税務・知財にまたがって横断的に分析するコーナーとしたいと思います。今日のテーマはポイント集め。
ポイントを貯める活動「ポイ活」が流行っているようです。私は自分の預金残高を感覚で把握しておきたいため、できる限り現金決済するためポイントには疎いですが、本当は非現金決済の方がかなりお得であることは理解しています。
たとえば物を購入して得たポイントは、将来ほしいものを安く買える権利ということで財産的価値がありそうですが、単に将来買い物をした際に値下げしてもらったというだけの話で、現在、個人の所得税上課税はなされません。ただ、ポイントを有償譲渡できるようになると有価証券同様の権利となりますので、所得税が課税される可能性があります。
これに対し、法人税上の課税関係は複雑です。すべて書いていると相当な長文になるので、新収益認識基準適用後のごく簡単に典型例の処理を記載すると、付与ポイントのうち、消費税以外の部分を契約負債として繰り越す処理となります。つまり、売上から付与したポイントの、消費税を除いた本体部分を減額し(つまり法人税も減額されます)、将来ポイントが使用された際や失効した際などに繰り越した部分の売上を計上する(つまりここで繰り越した部分について課税される)のです。
これはあくまで典型例で、ポイントの在り方によってさまざまなパターンがあり、実態に合わせて会計・法人税・消費税それぞれの処理を丁寧に整理して処理しなければならず、これはかなり大変な作業になります。
しかし、現場が混乱していないのは、実際には自動計算のプログラムを組み込んで、売上計上と同時に、ポイント処理もすべて自動で計算・処理される仕組みが構築されているからです。ですので、現場の人間はポイントをめぐる複雑な処理をほとんど意識せずに対応しているのではないでしょうか。
その穴が突かれたのが先日の高額の宿泊施設キャンセルによるポイントの不正取得の事件です。本体取引がキャンセルされた場合、当然当該取引に伴う発生ポイントは消失処理されるべきで、このような単純な処理を失念していたということに多くの方が驚いたと思いますが、その背景には、ポイント処理がコンピューターの自動処理任せになっている実態が見え隠れします。
AIによる自動化がよく叫ばれる世の中ですが、あるべき姿はAIを活用した人間の生活の最適化。そのためには、自動計算の内容を人間が理解してチェックすることが必須であることに改めて警鐘をならす事件であったと思います。

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