2015年11月29日 (日曜日)

冒頭陳述とは

元ボクサーが、妻の勤務先の弁護士に傷害を負わせた事件で、今週冒頭陳述の内容が大きく報道されています。
報道内容が既に真実だという前提で情報が飛び交っていますが、そもそも冒頭陳述とは何なのか。何回か質問を受けたので、本日はこれを題材にします。
冒頭陳述とは、検察側が集めた証拠を基に、検察が証明「しようとする」事実を裁判の冒頭で説明することです。
もちろん証拠をベースに優秀な検察官が構築しているので、被告人が罪を認めている事件ではほぼ冒頭陳述と同じ内容が裁判所によって認定される事が多いのですが、あくまでまだ証明予定の事実で、証明されて確定した事実ではありません。
この事件では、被告人は傷害罪等の罪を認めてはいるものの、次回後半で妻などの証人尋問が予定されています。
これは、警察官や検察官が事情聴取して作成した調書の内容に被告人が不満があるため、その証拠取調を認めず、証人尋問で直接裁判所に事実を判断してもらうということです。
つまり、先日公開された冒頭陳述は、検察官が、警察官や検察官の事情聴取した内容をベースに構築したものですが、被告人がその聴取内容に異議があるため争うという状態です。冒頭陳述はあくまで現時点では検察官の主張にすぎず、最終的な真実は次の公判で予定される証人尋問で明らかになるわけです。
この裁判ですが、初版の傷害等事件ですので、被害弁償していなくても、執行猶予がつく可能性は一般的には高いのですが、被害者に与えたダメージは計り知れないため、実刑となる可能性は一般的な傷害事件よりかなり高くなると見込まれます。
弁護人の主張は、被告人も重大なダメージを受けた被害者だということを立証して執行猶予判決をもらいたいというもの。
事実の決着は次回公判待ちという状態です。
ただ、この事件、事実がどう転んでも、両者の負ったダメージは大きすぎ、色々人として超えてはいけない一線を再認識させられる事件です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年11月 4日 (水曜日)

【緊急告知】

私と同姓同名の無職43歳男性被疑者が逮捕されたというニュースが流れていますが、
38歳弁護士である筆者とは何ら関係のない赤の他人です。
この被疑者と筆者とを混同させるあらゆる言動(ネット上含む)
この事件に関する掲示板等への筆者に関するあらゆる情報の書き込み
は固く禁じます。
悪質なものにつきましては、直ちに法的措置を講じますので、悪しからずご了承ください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年10月 2日 (金曜日)

本気を出さなければいけない時期

大阪市で職員2名が分限免職となりました。この制度は約20名に1人の割合に付される最低ランクの人事評価を2年連続で受け、研修等によっても改善が見られなかった場合などになされる処分のようです。
この制度、能力の低い人をクビにする制度ではありません。
普通の人であれば、約20名に1人の割合に付される最低ランクの評価を受けると屈辱を感じます。しかし、この評価を付されたからクビになるのではありません。
普通の人であれば、何が悪かったのか、どうすれば改善できるかしっかり考えますし、自分で考えてわからなければ周囲に相談します。
公務員の組織は常に異動で流動的ですので、毎年同じ20人の中で評価されるケースは多くなく、また、業務内容も異動によりどんどん変わっていくものと推測されます。
学校の勉強であれば、一度クラス内でついた差を挽回するのは難しいかもしれませんが、このように、メンバーを変え、業務内容を変えて評価されれば、1度目の低い評価を受けた段階で既に取り返しにつかない差がついているということはありません。
今回、この2名が免職となったのは、能力が低いことではなく、1度目の評価を受けた後の努力が足りなかった事の方がウェートが大きいのではないかと思われます。
1度目の評価を、「おみくじで運悪く大凶をひいてしまった」とか、「なんとかなるだろう」などど、悠長に考えていると大変な失敗につながるということだと思います。
本気を出さなければいけない時期、というのはどこの社会にもあります。
例えば野球やサッカーで、序盤に失点がかさむと、早い時間帯からでもどんどん仕掛けていかなければ手遅れになります。
恋愛でも、誠意をこめればなんでもない局面で、些細なすれ違いを放置した結果別れるというのはいくらでもある話です。
どこで本気を出さなければ手遅れになるか、しっかり見極めることがとても大事で、大阪市の分限免職の件に関しては、これが1回目の低い評価を受けた時点であると比較的わかりやすい事例だと思われます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年10月 1日 (木曜日)

無茶な契約のつぶし方

アダルトビデオへの出演を拒否してプロダクション会社が2460万円の違約金を求めた訴訟で、東京地裁はプロダクションの請求を棄却する判決を出しました。
この事件について、事案の詳細や訴訟資料を知っているわけではないので、あくまで個人的な推測と一般論ですが、本日の記事にします。
この事案は、最初の契約書は「タレント契約書」だった模様。その中に違約金条項があり、この違約金やレッスン料などでプロダクションへの債務が増大したところで「AV出演契約書」に切り替えられ、出演を断ると多額の違約金が請求される仕組みのようです。
常識的に考えて、どこからどう見ても無茶苦茶な契約。しかし、契約書がある以上、債権者は「契約を履行しろ」というだけ。弁護士でもこのような案件の債務者側は大変苦労するので、一般人が巻き込まれるととても大変だろうと感じます。
このような無茶苦茶な契約の履行を求められた場合のスタンダードな対応は、弁護士に依頼し、「契約は無効なので支払わない」旨の内容証明郵便を送付すること。ここで相手が引き下がれば、費用は5万円ほどで事実上解決します(この段階で着手金・報酬金を要求する弁護士にはご注意ください)。
問題はこの事件のように、債権者が訴訟提起に至った場合。はっきり無茶苦茶な契約でも訴訟の場で無効の判断を得るのはなかなか骨が折れます。
多くの場合詐欺や強迫までには至らないため、最もしっくりくる法律構成は公序良俗違反(民法90条)。私も実際の裁判で、依頼者が実際に判を押した契約書について公序良俗違反で無効を勝ち取ったことが何件もありますが、裁判所はこの条文適用に対して大変腰が重いです。
原告側は、特に何も主張立証することはなく、ひたすた被告側が、「契約内容が被告側に著しく不利益」であるとか、「契約の成立過程が、強要まではいかなくとも、事実上断ることができない状況であった」など、この契約が常識に反する要素を徹底的に拾い上げて主張・立証しなければなりません。
そのうえで、裁判所も大抵「強迫や詐欺ならわかりやすいのですが、最終的に公序良俗違反という判断になるかどうかは微妙な案件で・・・和解されたらどうでしょうか」と言ってきます。
このような案件は和解が成立しにくいため、判決になると、最終的には常識に則った結論を出してくれる裁判官が多いという印象です。
無茶苦茶な契約の履行を求められた場合、判を押してしまったという負い目があっても、すぐに弁護士に相談し、とことん争うのが最善です。
ただし、結果とは別に、契約書に判を押すことの意味はしっかり認識すべきです。
契約する際にきちんと内容を全部読んだか、自分に不利益な条項がないか、自分勝手な解釈をしていないか、後でなんとかなるとたかをくくっていないかなど判を押す際に振り返るべきことはたくさんあります。
冒頭の事案、近時「タレントになりたい」という人は多いと思われます。しかし、無名の素人にそう簡単に華やかな仕事が来るはずがありません。「多少は」嫌な仕事も頑張らねばならない時もあるでしょう。その覚悟がなければタレントなど目指す資格はありません。
しかし、それが度を超えた場合、弁護士が速やかに介入し、救済する。この裁判例がその道標となることを期待してやみません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年5月30日 (土曜日)

子どもの「度を超えた不始末」は親の責任

豊中の隣人殺人事件。ネット上でも多くの方がコメントしているとおり、とても痛ましく、被害者の気持ちは察するに余りある事件です。
この事件では、1歳の赤ちゃんがドアをたたいたことなどが動機になっているようですが、結果として加害者の悪意が向けられたのは母親。
小さい子どもの不始末は親の責任、子ども自身ではなく親の責任と受け止める人は多いのだと思います。
ここで必ず問題となるのは、「みんな子どもだった時期があるのだから、小さい子どものちょっとした迷惑行為くらい大目にみようよ」という話。
まったくその通りで、まだ十分な判断能力のない子どもの行為について、大人が自分目線で「不快に感じるからダメだ」と判断するのはおかしいと思います。
今回の件も、子どもが、おもしろがって他人の家のドアをトントンたたくくらいどんな子でもやってしまうこと。
これくらい社会として受忍すべき範囲内だということは常識として根付いてもおかしくないと思います。
ただし、子どもをめぐる隣人トラブルの相談事例を見ていると、なんでもかんでも子どもだからという理由で許されるわけではなさそうです。
階上の家の子どもがドタバタ走り回る、というのはよくあるケース。子どもは走り回るものなので、昼間は階下の人は生活音として我慢すべきですが、22時以降など、常識的に子どもはもちろん大人も寝る時間までドタバタしているようであれば話は逆転します。この場合、子どもを寝かしつけようとしない親には一定の責任が発生しても仕方ないでしょう。
電車内などの公共スペースでの発声もよくあるケース。電車内での会話は大人もするものなので、子どもがちょっと電車内で声を出したくらいで目くじらをたてる大人は少しおかしいでしょう。
しかし、公共の電車内で大声で叫び続ける、歌を歌う、そうした子どもを親が静止しない場合、その親には一定の責任が発生しても仕方がないかもしれません。
子どもに社会常識を押し付けるべきではなく、多少の行為については社会全体でしっかり受け入れ、支えてあげるべきです。
しかし、時に、わが子かわいさに、あるいは、育児疲れのために、子どもの「度を超えた不始末」に対して十分な対処をしない親がいます。
そうした親を見ると、あなたはもっと頑張らなければいけませんよと感じるときが時々あります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年10月28日 (火曜日)

所属先が本当にすべきことは

不倫アイドル、器物損壊アイドル、無免許運転の野球選手・・
世間から厳しい意見を浴びせられる中、所属先が必死に守ろうとする事件はたくさん見当たります。
所属先が彼らを守ろうとするのは非常に大切なこと。
まだ精神的に成熟していない人間は、道を踏み外さずに模範的に生きられる人ばかりではありません。失敗はある程度つきもので、1回の失敗でその人の努力や才能を水泡に帰させることのないよう守れるのは所属先だけです。
しかし、守れば終わりではなく、もっと重要な任務があります。
その失敗と本気で向き合う機会を与え、人間としての成長を促すこと。
そして、人間ピンチに陥れば、その原因を探り必死で反省と、生き延びる道を探します。しかし、喉元過ぎれば・・で、時間がたてば、「失敗と向き合った自分」から「根底の自分」に戻ってしまいがちです。
所属先の任務は、まさにこの喉元過ぎた、油断のでやすい時期に、継続して上記の任務を果たせるか。
所属先が目先の自分の利益しか考えていなければ、到底無理でしょう。
学校でも、スポーツチームでも、芸能プロでも、素行を重視して採否を決めるところが増えていますが、才能があるなら、多少の素行不良があってもいいじゃないですか。
大切なのは、本人に継続してしっかりダメな点と向き合わせること。その認識を持てなければ、不祥事のあった団体はもちろん、素行優良な人材ばかり集めた団体も、その任務を果たせず、長続きしないでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年10月10日 (金曜日)

子どもの声は「騒音」じゃないけれど・・

東京都の環境確保条例では、「何人も規制基準を超える騒音を発生させてはならない」としたうえで、騒音の定義に子どもの声が含まれています。
これはあまりに常識はずれとの声を受けて、騒音から子どもの声を外す方向で検討を始めたようです。
そもそも、子どもの声がなぜ騒音になるのか私には理解できません。
子どもは誰しも泣き、好き勝手言葉を発し、育っていくもので、子どもの発生は言論の自由をさらに超越した、成長するために必要な行為、いわば生きる権利といっても過言ではないと私は思います。仕事のために出る機械音とは根本的に質が全く異なります。
子どもの声を騒音に含めた起草者たちは、自分たちも大声をあげて育ってきたことを忘れてしまったのでしょうか。
というわけで、この条例改正は、疑う余地のない改「正」であると私は思いますが、勘違いしてはならないのは、子どもの声が騒音から外れたからといって、親の子どもに対する指導や監視の義務は何ら低減されないということ。
子どもが泣いたり、大声を発したりすることはある程度は必要なものですが、場において非常識な行為は親がきちんとダメだとしつけなければいけません。
乗客がたくさんいる電車内で大声を出すこと、夜に住宅街で奇声を発したり、金属音をガンガンさせることなどは、社会の常識としてやってはならないことだと親がしっかり子どもに教えなければなりません。
最近、このようなしつけができない親が増えているのも事実。しかも、親が子どもをしつけない一番大きな理由は、子どもの好きなようにさせてあげたいという子ども愛ではなく、子どものやりたいことを制限すると泣いて、余計手間がかかるから放置する、という自分のためのもの。
子どもの声や出す音は決して「騒音」ではありません。しかし、子を持つ親は、条例で規制されているか否かに関わらず、きちんと子どもをしつける意識を絶対に忘れてはならないでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年9月25日 (木曜日)

情報の押し売り禁止

繁華街での客引きについて、大阪市はキタ(北区)とミナミ(中央区)の広範囲を禁止区域に指定し、11月から罰則付きで禁止する方針を固めました。
風俗営業の客引きが規制されて、非常に安心感をもって路上通行でいるようになったこと、風俗営業に限らず、カラオケや居酒屋の客引きもかなり悪質だということはこのブログでも何度も取り上げてきました。
方向性としては非常によい取り組みだと思います。
カラオケや居酒屋の客引きがなぜダメか、客に情報を与えること自体は問題ではなく、当然営利表現の自由の範囲内です。
客引きの問題点は、路上の真ん中にたちはだかる、身を乗り出してきて通行の邪魔をする、しつこくつきまとう、時に暴力的言辞を用いるなど、迷惑行為の態様が増加していることです。
これでは、まるで路上での情報の押し売り。そのような他人への迷惑行為が商売として成立する世の中は明らかにおかしく、決して容認されてはなりません。
今や大多数の人がスマホを持っており、スマホのアプリで2,3ボタンを押せば、現在地周辺の居酒屋やカラオケの情報は簡単に出てきます。
営利表現は十分に達成されており、その情報からどの店を選ぶかは客に自由。むしろ、この自由を奪おうとする行為こそ、自由の敵だと認識されるべきです。
全業種の客引き規制には反対意見もあるようですが、おそらく町の通行は非常に快適になると思われ、モデルケースとしてどんどん全国に広まってほしいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年9月11日 (木曜日)

なぜ弱いものいじめをするのか

店員に対する土下座強要
全盲の少女に対する暴行
盲導犬に対する暴行
なぜこのような事件が連日報道されるのか理解できません。
無理やり理解するならば、相手を最初から自分以下の存在だと見下し、そのような相手に対して優越感を得たい、または、そのような相手から不快な思いをしたくない、といったところでしょうか。
他人に対する侮りや過信が最も持ってはいけない感情であることは、このブログでも度々記事にしてきました。このような感情を持った人間が、豊かな人生を送り続けることは到底できないだろうと思います。
もう1つ、よく言われることですが、自分が逆の立場にたつかもしれないことを考えすらしていないのだろうか、ということ。
人間、いつ視力を失う事故に巻き込まれるかもしれませんし、仕事で失敗してお客に叱られる可能性などいくらでもあります。
そうした時に同じ対応をされたらどうか、少し考えれば、いかにそれが愚かなことで、恥ずかしいことかすぐにわかるはずです。
事件はたくさん報道されていますが、それはごくひと握りの人間の話で、大多数の人はこのような事件に憤りを感じ、反面教師にしていると信じています。
私は、一生懸命頑張っている社会的弱者には、いつも共感し、何か力になりたいと思う反面、奢る強者には、しばしば反感を抱きます。
自分では決してこのようなことはないよう、しっかり気をつけるとともに、もう1歩進んで、どうすればこのような事件の被害者を救えるか、一生懸命知恵をしぼって考えたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014年9月 6日 (土曜日)

デング熱騒動をふまえ、自己防衛策を整理せよ

デング熱騒動がおさまりません。そもそもデング熱とはどのような病気で、どう対処すればよいのか。代々木公園に近づかなければ大丈夫だと対岸の火事だと思っていないでしょうか。
デング熱は、簡単に言えばウィルスに侵されて体調不良を引き起こすもの。しかし、現時点で有効なワクチンがないため、重篤な状態に陥ってしまうと危険だという面が指摘されています。
このウィルスが日本に入ってきた経緯ですが、蚊が飛行機に乗って来日し、代々木公園で繁殖して増えたとは考えにくく、デング熱感染者を蚊が刺し、その蚊が他の来園者を刺して感染者を増やし、新たな感染者を別の蚊が刺し、・・・という形で広まっていったと考えるのが最も合理的です。
そうすると、デング熱に感染した無自覚症状者が自分の近くにいて、その人を刺した蚊に自分も刺されると、日本のどこにいても、デング熱に感染してしまうリスクはあります。
デング熱は決して対岸の火事ではなく、その防衛策として、不特定多数の人が行きかう場所で蚊に刺されないよう注意することが大事です。
大きな公園に行く時などは、こまめに防虫スプレーをかけたり、露出の少ない服装を心掛けた方がよいでしょう。
先日、東京のある飲食店で食事をしていると蚊が飛んできたので、私は、周囲の客の食事の邪魔にならないよう気をつけながら全力で追い払いました。
この飲食店は別に代々木公園近くにあるわけではありませんが、店内には外国人の客も、半袖で非常に露出の大きい客もいたため、ウィルスに感染するリスクは決して低くないと判断したのですが、私と同じように蚊を非常に気にしている方は他にもいました。
蚊に刺されることは今後「ちょっと嫌、できれば避けたい」では済まされず、非常にリスキーなものになっていくのかもしれません。
蚊に刺されないためにどうすべきか、不特定多数の人が行き交い、蚊の多い公園などを通る際、どう準備すればよいか、今のうちから考えておいた方がよさそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧