冒頭陳述とは
元ボクサーが、妻の勤務先の弁護士に傷害を負わせた事件で、今週冒頭陳述の内容が大きく報道されています。
報道内容が既に真実だという前提で情報が飛び交っていますが、そもそも冒頭陳述とは何なのか。何回か質問を受けたので、本日はこれを題材にします。
冒頭陳述とは、検察側が集めた証拠を基に、検察が証明「しようとする」事実を裁判の冒頭で説明することです。
もちろん証拠をベースに優秀な検察官が構築しているので、被告人が罪を認めている事件ではほぼ冒頭陳述と同じ内容が裁判所によって認定される事が多いのですが、あくまでまだ証明予定の事実で、証明されて確定した事実ではありません。
この事件では、被告人は傷害罪等の罪を認めてはいるものの、次回後半で妻などの証人尋問が予定されています。
これは、警察官や検察官が事情聴取して作成した調書の内容に被告人が不満があるため、その証拠取調を認めず、証人尋問で直接裁判所に事実を判断してもらうということです。
つまり、先日公開された冒頭陳述は、検察官が、警察官や検察官の事情聴取した内容をベースに構築したものですが、被告人がその聴取内容に異議があるため争うという状態です。冒頭陳述はあくまで現時点では検察官の主張にすぎず、最終的な真実は次の公判で予定される証人尋問で明らかになるわけです。
この裁判ですが、初版の傷害等事件ですので、被害弁償していなくても、執行猶予がつく可能性は一般的には高いのですが、被害者に与えたダメージは計り知れないため、実刑となる可能性は一般的な傷害事件よりかなり高くなると見込まれます。
弁護人の主張は、被告人も重大なダメージを受けた被害者だということを立証して執行猶予判決をもらいたいというもの。
事実の決着は次回公判待ちという状態です。
ただ、この事件、事実がどう転んでも、両者の負ったダメージは大きすぎ、色々人として超えてはいけない一線を再認識させられる事件です。
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