2020年7月 8日 (水曜日)

集団意識の罠

大手企業は当然、法務管理は厳格に行っています。しかし、訴訟の勝率が高いかというと必ずしもそうではありません。その理由はいくつかあるのですが、1つ大きなパターンとしては、組織の集団意識としてある結論を譲ることができず、訴訟では勝算が高くなくとも行くところまでいかざるをえないケースがあります。
よくありがちなのは労務のケース。組織になかなかなじめずに味方の少ない社員は不満のはけ口にされることが多く、しばしば労務面でも不当解雇や不当な残業代や賞与の不払等の被害を受けやすいです。これは弁護士が見ればはっきり負ける事案なのですが、組織としては複数の中核社員の意見と、1人の生産性のよくない社員の意見とを平等な天秤で測ることはできず、集団意識として中核社員が絶対正しいし譲るべきところもない、という方向にどうしてもつっぱしりがちです。そのため、その勢いそのまま訴訟に突撃して撃沈するというパターンがどうしても一定割合生じがちです。
不正事案もおそらく根本は一緒で、「自分たちはこれくらいうまい思いをして当然」とか、「自分たちと他者とは違う」という一部数段の歪んだ意識から生じるものと思われます。大きな組織を動かすにはリーダーがメンバーを同じ方向に力強く導くことが不可欠ですが、その勢いが大きいと、時に部分的に組織の方向と異なった方向にむかっていることに気づかずにおかしな方向に突っ走ってしまうチームが生じがちなので注意が必要です。
重要なのは、組織全体に勢いをつけつつも、各構成要素の向かっている先を組織全体に見える化し、組織内で牽制がはたらくようにすることで、これは非常に難しいこととは思いますが、これからの組織発展活動の肝となる大きなポイントになるでしょう。

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2020年7月 1日 (水曜日)

慣れないからこそ早期導入を

コロナ感染対策として活用が急速に広まったリモート会議。誰もが最初は慣れないと思います。私も、事前準備できちんと機器が作動することを確認していたにも関わらず、本番では危機がうまく作動せずに相手を大幅に待たせてしまったり、会話の間がうまくつかめず、発言が重なるなどうまく会話のリズムが取れなかったりいろいろ苦労しました。対面とリモートと、どちらか選べるのであればほとんどの人が対面を選択するはずです。
しかし、第二波の到来も予測される中、リモート会議に慣れることは必須です。誰もが最初はうまく活用できません。ですので、初期に失敗してもそれがキャリアに致命傷を与えるような失敗になるとは考えなくてよいでしょう。むしろ今後、皆普通にリモート会議を活用できるようになった中で、一人だけリモート会議をうまく活用できないとなるとこれは致命傷となりかねません。ですので、まだ皆試行錯誤のこの時期にしっかり経験を積んで早めに慣れておくことが将来のために非常に有用です。
とはいえ、お客や取引先相手に失敗をするのは、仮にリモート会議初心者であると相手に理解があたっとしても回避したいため、まずは内部会議からどんどんリモートで開催していくべきでしょう。リモート会議は使いにくいからできる限り利用しないようにしよう、とする管理職のチームは時代に取り残され、これを積極的に活用する組織が生き残っていくはずです。
失敗の回避は大切な考え方ですが、将来避けられない失敗は早めにしてしまって早くこれを克服してスキルやノウハウを得てしまうべきです。リモート会議はその最たる例として非常にわかりやすいです。

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2020年6月24日 (水曜日)

リーダーはバランス感覚が大事

組織のリーダーは今まさに、自分で考えてバランス感覚ある意思決定をしていかなければなりません。
最初のステップは従前のやり方を今のこの状況で踏襲してよいか、という点です。従前のやり方を継続できるのであれば、それが他のメンバーにも最もわかりやすく、組織は円滑に動けます。ここでポイントとなるのが、「従前通りにやりたい」ではダメで、「従前通りにやっても大丈夫か」という点を身長に判断することです。従前通りのやり方では感染拡大や信頼失墜につながるおそれがあるならば、新しいスタイルを模索しなければなりません。
これが次のステップで、眼前の課題を克服する新しいやり方を見出すこと。無からいきなり優れた手法を見出すのは困難ですので、多くの場合、これは類似する他の組織のやり方を参考にすることがセオリーですが、よそのやり方を真似ればよいというわけではなく、新しいやり方が自分の組織にフィットしていて、課題を克服できる点をしっかり確認する必要があります。
さらにこの先に、新しいやり方が社会の枠組みに適合しているかを検証するステップも必要です。新しいやり方が法律に違反していたり、社会的に批判を浴びるようなものであれば継続することはできません。仮に善意であっても、取引相手の実情に応じて取引条件を大きく変えることは独占禁止法違反となりかねないなど、自分では良いと思った手法が意外に失敗作であるということはしばしばあることで、専門家に相談しながら丁寧に検証する必要があります。
このように、新しいやり方を見出すにしても丁寧に検討すべき点は多く、リーダーにはバランス感覚が求められます。だからこそ、この時期の組織の浮沈を握るのはリーダーのこうした資質なのかと思います。

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2020年6月17日 (水曜日)

本音を引き出す力

組織マネジメント力の重要性はどこの世界でも説かれていますが、その内容は千差万別です。これをコミュニケーション力とアバウトにとらえる人も多いですが、より掘り下げてみると、本音を引き出す力といえそうです。
まず、他人に何かを伝える場合、相手にきちんと伝わったのか、わかったふりをしているだけなのかでは全然結果が異なります。そこで、本当に伝えたことを理解できているかを確信するために、追加で2,3やりとりして、相手の理解度の本音を引き出す人は組織マネジメントをうまくこなせます。
組織のフォローワーメンバーを扱う場合、各メンバーの組織への忠誠心ややる気をできる限り正確に把握する必要があります。上司の前ではきれいごとを言うけれども、人が見ていないところではすぐにさぼったり、他人の悪口を言うメンバーは組織に悪影響を及ぼすため早めに手を打つ必要があります。そのため、硬い面談の場よりもフランクなランチの場などでうまく相手の本音を引き出すことが組織マネジメントのカギになります。
最近、企業のリクルートも面談よりインターンを重視しているところが増え、法律事務所の弁護士採用は、実質的に飲み会の場での会話の内容で決める小規模事務所もまだまだあります。これらは、いかに自然な雰囲気の中でどのような言動が出てくるかを見るものです。綺麗ごとは誰でもいえるもので、そうではなく、いかに本音で組織に貢献したいと考えている人間かどうかを見極める工夫が大事で、これこそが組織の継続的成長に欠かせないパーツだといえるでしょう。

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2020年6月10日 (水曜日)

「弱み」を見せないこと

どのような組織も、いかに優秀な人材を定期的に補充し、組織にプラスにならない人材を採用しないよう気をつけることは大きな課題で、会社であれば人事部は常に頭を悩ませているポイントだと思います。
応募する側からみると、少子化で売り手市場であるため、まずは大企業や報酬の高い企業に人気が集まります。こうした企業は魅力がはっきりしていますし、業務の幅や人脈の幅も大きいと予測される(しかし、これは多くの場合誤解)からです。大きな魅力の前では小さな悪評は無視しがちですので、多少、悪い部分が目についても皆大企業を目指してしまいがちです。
これに対して中小企業は、応募してきた人やインターンに丁寧に自社の強みを説明してようやく興味をもってもらうことができます。ただ、ここで大事なのは、強みのアピールよりも弱みを見せないこと、すなわち、悪評が立たないよう平素から居心地よい組織の構築に注力すべきということです。応募する側からすれば、売り手市場で選択肢を持つ以上、リスクは抱えたくないというのが最初にあり、一度悪評を聞いてしまうとその会社は選びにくくなってしまいます。
しかし、「弱み」を見せなくすることができれば大企業への逆転の目が見えてきます。大企業では多くのメンバーはセクショナリズムのもと、特定の分野の業務に特化し、その業務に携わる人以外とはほとんど接点はありません。横断的に複数の分野で活躍できるのは出世レースに勝ち残ったエリートだけで、多くの人にとっては入社時に思い描いたキャリアプランにはならないことが往々にしてあります。
そうであれば、リスクの少ない中小企業で、幅広く活躍しようと考える人も増えてくるでしょう。大企業は強みも弱みもおおむね固まっており、そう簡単に修正できません。強み勝負では勝ち目が低い以上、弱みを見えにくくすることに勝機を見出す方が現実的だと考えられます。

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2020年6月 3日 (水曜日)

組織風土醸成のエンフォースメント

組織がうまく成長していくためには、リーダーから個々のメンバーまで全員が意識の高い集団を目指していかなければいけません。そのためには、リーダーが率先してその風土を醸成し、ミドルマネジメントがさらに最下層のメンバーまでこれを浸透させていく必要があります。これは言葉にすると簡単ですが、実行はなかなか難しいです。理解してもれない人間にどう理解させるかという課題にうまい解決策がないからです。
最近の最も身近な例でいえば、日本は首相のリーダーシップのもと、法令で強制するのではなく、各自の外出自粛等意識の向上によりコロナに打ち勝とうとしました。これには多くの国民が賛同し、相応の成果を得ることができたのは確かです。しかし、外出自粛に対する理解が低く、連日パチンコ屋に並ぶなどの人も問題視され、さらにそうした人を自発的に取り締まろうとする自粛警察なる人物も話題を呼びました。
意識の向上は組織の成長に必須ですが、ルールで強制されるものではありません。ルールで強制されるものではないということは、パワハラなどの不当な圧力による事実上の強制であってもなりません。「組織のやり方に従わないやつは干して自発的にやめさせる」というのは、体育系クラブや未成熟な企業でありがちなやり方ですが、決して干したり(能力に対して著しく容易または少ない役割を任せる)、いじめやパワハラ・モラハラで組織のやり方を事実上強制すべきものではありません。
かといって、「人柄」や「コミュニケーション」だけですべて解決する問題でもなく、要はセオリーとなる解決策のない課題であるたま悩ましいのです。ただ、1つ言えるのは、急にこの課題解決の必要性に気づいて急に組織の意識を飛躍的に改善することはおそらく困難で、組織結成当初から時間をかけて丁寧に組織の正しい風土の構築に努めなければならないと思います。
自粛が大事だとわかっていても自粛できない未熟な人はどうしてもいます。そうした人を、強制や事実上の強制で簡単に従わせようとするのではなく、地道に時間をかけて説得することが非常に大事です。

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2020年5月27日 (水曜日)

コンプライアンス意識マトリクス

組織のトップとフォロワーのコンプライアンス意識の組み合わせは4組あり、それぞれに組織を動かしていく方向性が大きく変わってきます。
一番まずいのは、トップもフォロワーもコンプライアンス意識が低いカオス組織。売上または利益至上主義で、そのためにはルールは無効化され、取引相手もキャッシュをまきあげる対象としてしか見えなくなる組織。早晩崩壊が免れない組織形態ですが、トップが心を改め、外部専門家を入れて大幅な組織改革を断行すれば間に合うかもしれないパターンです。
フォロワーはコンプライアンス意識は高いがトップは低いというパターンはよくみかけます。組織のトップはこれまで組織を築き上げてきた実績があり、また、組織に対して大きな責任を負うことから、「多少の私物化は良いだろう」とトップが考えてしまうパターンで、弁護士や公認会計士への監査や不正調査の依頼でも、トップの関与する領域は調べなくてよいという人が時々います。この一言だけで我々は「怪しい」という心証をもってしまうのですが、こうした組織はトップが改心すれば一気に成長できるポテンシャルを持っています。監査役や相談役に、トップが頭があがらない人を据えて立て直しを図るのがセオリーです。
逆に、トップはコンプライアンス意識が高いが、部下が低いという組織もあります。こうした組織ではトップは優秀なのですが、言葉数が少なかったり、優しすぎたりして部下が甘えてしまっているのが現状で、放置すると現場がかなり乱れてしまいます。トップがきちんと自分の目指す組織像や部下に求める態度を継続的に伝えていくことが逆転のカギとなります。
トップも部下もコンプライアンス意識の高い組織は、安定感が全く他とは異なります。おそらく東日本大震災時にも最近のコロナ禍にも大きな混乱なく、お互いを信頼しあって傷を最小限におさえてうまく組織活動を回していけているのではないでしょうか。
この状態は簡単なようで実は非常に長い時間をかけて到達できるところで、トップが終始一貫して高い意識を提唱し、自ら率先して態度で示していく必要があります。誰もがこうした組織の構築を理想と考えつつ、容易ではないため、途中で挫折しているのが現状かと思われます。しかし、全員が高い意識を持った組織は本当に強く、そのためには、まずはトップだけが意識の高い組織になり、繰り返し粘り強く部下の意識を高めていくことがセオリーになるかと思います。

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2020年5月20日 (水曜日)

現代に適応させないといけないもの

コロナ禍がこのまま収束に向かったとしても、第二波に備えるために継続すべきことはたくさんあります。
まず、大箱での宴会や集会は当面開催すべきではないでしょう。そのほか、ペーパーレス化、電子決済化、リモートワークの徹底等、先進組織が既に取り入れている現代流の仕事のやり方を早急にどの組織でも取り入れていく必要があります。
ペーパーレス化に関しては、我々が普段作成する書類は情報量に満ち溢れているため、内容を把握するだけならばデスクトップで十分ですが、誤字脱字や数字をチェックするためには、どうしても印刷して目を通した方が効率的な面があります。しかし、ここが工夫のしどころで、校正チェックの優秀なソフトを入れたり、形式チェックは事務職にどんどん委譲していくなどして、少なくとも管理職の業務をスリム化させることは可能でしょう。
コミュニケーションに関しては、これまで対面での報・連・相が基本中の基本で、メールでのコミュニケーションは手抜きだと考えて疑わない層がかなりたくさんいましたが、今後はリモートで、PCやスマホを通して、(簡潔とは真逆の)いかに密度の濃いネットコミュニケーションをするか、すなわち、ツイッターのように短文で、自分は今何をしている、何を困っている、次どうしようとしているなど、ネットの向こうにいる自分の動きを出来る限り可視化することで、コミュニケーションを確立していくのが主流になっていくと思います。
大箱での宴会や集会がなくなるということは、そのような場でトップの意思を伝えるとか、大箱で大量の名刺交換をして、会合後のフォローで人脈をつくっていくというやり方ができなくなるということです。これに代えて、ネットベースでどう自分の熱い思いを伝え、どう人脈を構築するか考える必要があります。
これらは我々が対応しないと認識しつつ、つい後回しになってきたことばかりですが、コロナ感染対策はしばらく続けなければいけないことを想定すると、もう先延ばしできない、今しなければならないことです。よその例も参考にしながらしっかり工夫して組織構造の高度化につなげたいものです。

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2020年5月13日 (水曜日)

すぐに自粛した店、最後まで粘った店、パチンコ業者の勝者はもちろん・・

大きな話題を集めたパチンコ店の営業自粛。すぐに営業自粛した店と、最後まで開け続けた店と、自粛要請への対応は大きく異なります。これ、どちらが勝者かというと、いずれもクラスター発生源にならなかったと仮定して、一見して答えは明確です。
お店を開け続けた店について、無料で宣伝になった、大儲けができた、などと短期的な成果を指摘する人はいますが、これは文字通り短期的な成果にすぎません。確かにお店の名前は売れたでしょう。しかし、お客が儲かりにくい条件で多くのお客を受け入れたため、お客には「ぼったくり店」として認知されがちです。当然、他地域からのお客は中長期的には望めませんし、近隣地域では「迷惑な店」として認知され、やはり中長期的に営業はやりにくくなり、お客は減っていくでしょう。
営利団体に必要なのは団体とその構成員を生かすための利益であり、これを持たない団体が目先の利益を追求することは否定されるべきものではありません。しかし、営利団体に必要なのは、それだけではありません。外的な信頼やイメージといったものも、それに次ぐ水準で必要とされます。そのため、コロナ禍の中では、従前の蓄えを活用して組織として生きながらえつつ、社会に向けて好イメージを獲得していく方がはるかに得策です。
おそらく、すぐに営業自粛したパチンコ店は、多少の余裕はあると想定されるため、社会的信頼を得て、コロナ収束後速やかに業績が回復すると予測される反面、営業を継続したお店は数年後「あの時のお店は今?」といったワイドショーネタになっているかもしれません。
パチンコ店に限らず、この状態の中で速やかに自粛した店、ずっと開き続けている店、終息後にどちらのお店を信用して利用するかは、多くの人にとって自明ではないでしょうか。

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2020年5月 6日 (水曜日)

「第二波」「事後」に備える余力はあるか

新型コロナの「第一波」がなんとか抑えられたと仮定して、その後すぐに元通りの生活ができるわけではありません。油断すると「第二波」がくるかもしれませんし、第一波終息後も、当面は完全な収束まで自粛生活は継続する必要があると考えられます。
たとえば、コロナ感染者の増加を抑え込むことができたと言われる台湾や韓国でも、さらなる感染拡大への懸念からプロ野球は無観客で行うなど、感染拡大措置は継続しています。
そこで、この段階で我々が確認すべきは、この「第二波」や「事後」にどれだけ耐えられる余力があるのかという点です。テーマパークは今年1年ほぼ無稼働でも生きながらえるのか、緊急事態宣言が解けたらすぐにライブツアーを強行する団体がどの程度あるのか、大企業、中小企業はあとどの程度耐えられるのか、個人で仕事を失った人にこの先の道はあるのか、といったキャパを把握したうえで、社会として次の一手を模索しなければなりません。
おそらく、しっかりとした大企業は、事態が落ち着いた後もテレワークやテレビ会議、時差出勤等を駆使して、うまく活動を続けられるでしょう。体力のない中小企業をどうするかが鍵で、給付金や貸付でどこまで延命させられるか、延命させるか、線引きがどうしても必要になってくると思います。
感染者数が減った後も、負担を減らす工夫、やりたいことの我慢、社会への目に見える貢献が引き続き大事になってきます。大きな組織は問題ないと思いますが、今、正念場を迎えている企業は今一度、この状況がまだ続くことを想定して、1年後の組織の在り方をしっかり考える必要があるのかと思います。

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