2015年8月13日 (木曜日)

「つつみのおひなっこや」事件最高裁判決の射程~知財高裁平成27年8月6日判決の位置づけ~

結合商標の類否を判断するうえで大きな参考となるのが、「つつみのおひなっこや」事件最高裁判決です。
「つつみのおひなっこや」と「つつみ」が似ているかどうか、前者から「つつみ」の部分を抽出できるかについて、いわゆる「A+B」の商標から「A」の部分を抽出できるのは、Aが強く支配的な印象を与える場合またはBの出所識別機能がない場合に限られるという規範を立てました。
そのうえで、「つつみ」が強く支配的な印象を与えるとはいえず、「のおひなっこや」に識別商標としての機能がないとまではいえないという当てはめで、「つつみのおひなっこや」から「つつみ」を抽出することはできず、両者は非類似としました。
この規範を基に、同じような事例である知財高裁平成27年8月6日判決を検討してみたいと思います。
「オルガノサイエンス」と「オルガノ」が似ているかどうかが争点となった事案で、ぱっと見は、つつみのおひなっこや事件と同じような印象を受けます。
しかし、結論は、「オルガノサイエンス」から「オルガノ」を抽出することができ、両者は類似するという判断でした。
判決はもちろん、つつみのおひなっこや事件最高裁判決の規範を引用したうえで、
・様々な証拠により先行商標である「オルガノ」が既に相当程度周知であったこと
・指定商品が化学品類であることとの関係で、「サイエンス」は出所識別機能が低いこと
の2点を認定して、これらの事情を上記規範に当てはめて結論を出したのです。
「つつみのおひなっこや」事件最高裁判決があるので、特許庁が、連続した標準文字商標の一部を抽出することを躊躇したのは仕方のない判断だと思われます。
そのうえで、知財高裁は、積極的な事実認定をしたうえで、最高裁判決が示した規範の当てはめに1つの視点を示しました。
「オルガノ」が既に相当程度周知であったという事実認定が相当であれば、結論においても、最高裁判決の規範への当てはめの点においても相当な判断だと思います。
ただし、「オルガノ」つまりorganoは、「有機の」という意味で、こちらも指定商品との関係においてそれほど強い識別力を有しているわけではありません。
そこで、「相当程度周知」のレベルはかなり高いレベルにあるべきで、後願商標が事実上先行周知商標へのただ乗りに近いレベルである必要があるように思います。
なお、この審決取消訴訟は当事者系。査定系の特許庁が被告となる商標の審決取消訴訟では、もう3年近く取消判決が出ていませんが、商標法4条1項11号あたりでそろそろ取消判決が出そうな予感も感じさせます。

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2014年9月20日 (土曜日)

業務効率改善のために全員が共有すべきルール

業務の効率が悪い、あるいは、もっと良くしたいと思う場合、まずは一番ボトルネックになっている部分をみつけ、そこを改善するのがセオリーです。
では、ボトルネックをどうみつければ良いでしょうか。多くの人は、業務量が少ない、段取りが悪いといった能力面のボトルネックを探しがちです。
しかし、人の能力は一朝一夕で伸びませんし、設備の能力改善には、多大な投資が必要です。
そうではなく、能力に注目するのではなく、人の、仕事に対する向かい方、意識づけの面で1つルールを共有することが大事だと私は思います。
そのルールとは、「ラインの仕事を自分のところで止めない」こと。
例えば、日中は、接客を優先し、決済事項は、夜に一般社員が帰社してから行うという社長さん。
あなたのところで、決済を止めてしまっていることで、すぐに決済する場合と比べ、1日、そのラインの仕事は遅れてしまいます。
複数の人を介して1週間で仕上げればよいという仕事。初めの人がこれを止めて6日目に次の人にパスすれば、後の人は時間制限の中でこれをこなすことになり、ミスを犯すリスクや、他の業務に支障をきたす危険が生じます。
「すぐにやれとは言われていない、だから自分の気が向いた時にすればよい」という考えを持つ人は団体でのラインの仕事には向きません。
自分の仕事に支障は生じさせていなくても、全社的に大きな損害を生じさせているかもしれないことを自覚すべきです。
サッカーやバスケでは、決してオフェンス側はボールを止めません。
ボールを回せば、カットされて攻撃権を失うリスクがあります。しかし、ボールを回さずにぼけっと待っていても、得点という成果には全くつながらないため、少しでも成果につなげるために、絶えずボールを回し続けるのです。
仕事でも、自分個人のところでは期限がなかったり、期限に余裕があったとしても、それを自分のところで止めていては何ら成果につながらず、かえってチャンスを失う危険にさらされます。
業務効率を改善しようとする場合、人の能力を見る前に、仕事を止めないという、仕事の取り組み方針をしっかり共有することが大事だといえるでしょう。

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2014年9月18日 (木曜日)

仕事に臨む人の頭の中

仕事に臨むにあたっては、人それぞれ色々な事を考えているはずですが、仕事のやり方と考え方に一定の関連性があるのかと思います。
高い意識を持って、良い仕事を心がけようとする優秀な人は、常に、今日のスケジュール、今週のスケジュール、このプロジェクトのスケジュール・・と、様々な視点でスケジュールを整理し、いつ何をしなければいけないか、常に整理し続けます。
そのため、月曜日やプロジェクトを始めた当初などは、あまりのやることの多さにブルーになることもありますが、ゴールが近づくに連れて安心し、そして、また新しい目標を目指して走り出します。
自分の興味のある仕事を集中的にこなして成果をあげ、興味のない仕事は他人にうまく投げる器用な人は、基本的に自分のやりたい事しか考えていないので、頭の中はいつも明るいです。
このようなタイプは最近増えていますが、仕事に対する好き嫌いがあるため非常に扱いづらく、結局最後は、興味ない仕事もやるよう組織に屈するか、組織をやめるかの2択を迫られることになります。
単純なイエスマン、任された仕事はほどほどにこなし、自発的に1歩上の仕事は目指さない人間は、基本的に受身なので、頭の中はあまり情報がありません。
組織がある程度大きくなってくると、先に記載した、仕事を選り好みする人間よりも、まずはトップダウンの指令を忠実にこなす人が必要で、社会に一定数必要な人材です。
しかし、徹頭徹尾イエスマンで生き残れるほど、社会は甘くありません。どこかで殻を破り、飛躍的な成長を遂げないと、大きな組織であればあるほど、やがて居場所を失うことになります。
こうしてみると、仕事に臨むにあたって、頭の中や感情が整っていることは、自分の枠組の中で小さくまとまっているに過ぎず、色々大変な思いをしている人の方が成長し、組織にも役に立つ人材だといえそうです。
その視点で周囲を見渡すと、誰が今後出世して、誰が伸び悩むか、結構見極められるのではないでしょうか。

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2014年6月29日 (日曜日)

やりたいことばかり進んでする人の扱い方

業務を進める際、どんどん力強く進めていく人と、尻に火がつくまでなかなか進めない人とがいます。
大きく分けたらこの2者にわかれますが、現実の人間は簡単にこの二極化で分類できるわけではありません。
よくある第三者のパターンは、やりたいこと、興味のあることはどんどん進めるけれども、興味のない事は全くやらない人。
このような人をどう扱うかでそのチーム全体の士気が変わってきます。
ありがちな失敗は、しっかりやっている部分を褒め、その人が前向きに行う業務を重点的に割り当て、その能力を活かすこと。一見、うまくこの人を使っているようですが、この人がやりたがらない仕事は誰がするのでしょうか。
特定の業務はするが、他の事はしない、というのは好き嫌いの激しい、要はわがままで、これを容認してしまうと、その人はどんどんわがままが増長してしまう可能性があります。
また、わがままがまかり通ると知られれば、他の真面目な人までわがままを言い出すかもしれませんし、他の人がわがままをいって断った業務を回された人は決して良い気はしないでしょう。
このような自分の好き嫌いで活動にムラのある人に対しては、しっかりやっている部分については評価し、伸ばしつつも、そこだけするのでは要求に答えたことにならないことをしっかり理解させることが大事です。
A,B,Cのテストを受けて、AとBでは満点をとっても、Cが0点なら落第なのと同じで、いくら得意なところで活躍しても、それ以外のところで要求水準に見合った成果を出せなければ「使えない」人材だということを理解させなければ、その人はその後、わがままばかり言い、チームの士気をどんどん下げてしまいかねません。
部分的にでも精力的に活動する人をみると、すぐに高く評価しがちですが、それ以外の活動状況もしっかりみて、チーム全体の事を考えて対応を定めることが非常に大事だと思います。

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2014年5月29日 (木曜日)

コンプライアンス遵守は顧客サービスの最低条件

街中を歩いていると、速度超過、車線変更規制無視、歩行者のいる横断歩道や路側帯に強引に割り込もうとしてくるといた道路交通法違反のタクシーをよくみかけます。
職業として車を運転する以上、本来あってはならないのですが、急ぐ顧客に急かされてやむなくやっているのだろうと推察します。
しかし、顧客の要望だからといって、法律に違反してもよいという理屈はありません。これにより事故を起こした場合、自己の責任で、会社にも、顧客にも多大な迷惑をかけることになります。
コンプライアンス遵守体制がしっかりしていないバス会社が事故を起こし、コンプライアンス遵守意識も乏しい飲酒・居眠り運転による大きな事故が後を絶たない中で、いくら顧客に求められようとも、法をしっかり遵守することこそが、顧客に最も有益なサービスであることは明らかでしょう。
タクシー業界に限らずどこの業界でも同じ。法に違反して自分の利益を実現するよう要求する顧客に対し、その言う通りにすればその顧客は一時的に称賛してくれるかもしれませんが、その次の機会も同様に法令違反を要求されるでしょう。
そして、いずれ事故を起こして責任を負えば、手のひらを返して厳しく批判してくる、そのような関係を、望まない法令違反を犯してまで維持する必要はありません。
顧客の違法な要求には応じず、しっかりコンプライアンス遵守を貫くことこそ、顧客に対する最低限の対応で、余計な責任も負わずに済む対応であることは決して忘れてはならないでしょう。

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2014年5月20日 (火曜日)

厳しい自販機ビジネス

私のマンションの向かいには、100円自販機がありました。
今朝は、ちょうどコーヒーを切らしていたため、財布から100円玉1枚だけ持って買いに出たところ、110円に値上がっていたため、急遽別の100円自販機まで行き、コーヒーを調達しました。
せっかくの100円自販機だったものを、消費税増税に伴い、110円に値上げしたのは「悪手」だろうと思います。
100円と110円とでは財布からお金を出す抵抗感が大きく違い、売上の大幅減につながるからです、だからこそ、マクドナルドやセブンイレブンは、増税で苦しい中でも、本体価格を値引きして100円商品の提供を続けています。
ただ、自販機ビジネスとこれらチェーン店の違いは、後者の客は100円商品だけ買う人は少なく、割高の商品も合わせて購入してくれるため、100円商品の顧客誘引力が期待できることです。
自販機ビジネスは一定のキャッシュフローが計算できる手堅いビジネスモデルだったはずですが、マクドナルドやコンビニチェーンが、100円で淹れたてコーヒーを提供して以降、間違いなく売上が激減しています。
また、100円で価格を据え置いても、他で利益を挽回できるという事情もないため、消費税増税に伴い、価格をあげるという考えは当然の考え方です。
しかし、100円商品と110円商品とでは購入者の抵抗感が全く違うため、結局売上本数が大きく減り、キャッシュフローも利益も減ってしまうと予想されます。
近くにコンビニやマクドナルドがある地域では最早自販機ビジネスにはあまり大きな期待ができず、自販機も多い地域では、「値上げ」よりも「自販機の撤収または移転」を第一選択肢として考えた方がよいかもしれません。
今後さらなる増税も予想される中、今ある自販機1つ1つが、ビジネスの継続・縮小・撤退の検討が必要な大変厳しい時期であるのだと感じます。

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2014年5月15日 (木曜日)

発注に適合する仕事ができない場合の対処法

発注に適合しない仕事は、原則、評価されにくいという記事を書いていて、それを読んだ複数の知人とやりとりして感じたことがあります。
私は、かなり「無茶ぶり」を要求されることが多く、あまりの無茶ぶりはその場で断りますが、何とか背伸びしてできそうな事は出来る限り引き受けます。
こうした「無茶ぶり」には、発注内容通りの成果を得ることがそもそも原始的に不可能なものも多く、そうした場合、発注の趣旨を勘案して、これに沿った代替の方策を提案することが多いです。
これに対する反応はまちまちで、一生懸命代替案を考えたことに納得してくれる人もあれば、「とりあえずギリギリ合格点。何か機会があればもう1回チャンスを与えてやる」という人もいれば、「お前はできない奴だ」という人もいます。
発注に適合しない仕事が無意味であるとは、発注主の意図に反して、勝手に自分の主観的評価で仕事内容を変えてしまうことがダメだということで、このように、元の発注内容の実現が困難な場合に、代わりの方策を練ることは、必ずしも直ちにダメなことだとはいえません。
しかし、発注主の希望が通らなかったのは事実。そこをどう対応するかで、上記のように、自他共に満足する結果となるか、自他ともに不満を抱える結果となるか分かれるように思います。
発注内容が無茶ぶりで、まず無理なことであっても、とりあえず1度トライしてみて、「なぜそれが無理なこと」か確認し、そのうえで代替策を説明して納得してもらい、代替策を新たな発注内容にするというコミュニケーションが大事なのでしょう。
発注主の発注というのは、結構その場の気分にも左右されるぼんやいとしたもの。しかし、それでもこれに忠実に対応し、異なることをする場合もできる限り事前の納得を得るよう努めることが、同じ成果を出しても評価されやすくなるポイントとなるのだと思います。

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2014年4月 3日 (木曜日)

自分の思う通りに動かそうとするのではなく

よく、社長や、団体のリーダー(特にあまりうまく動けていない団体)がこぼす愚痴に、「どうすれば、部下は俺の言う通りに動いてくれるのか」というものがあります。
私はあまり口に出して結論を突きつけはしないものの、この課題の結論ははっきりしています。
「他人を言う通りに動かす方法などないし、その考えはおこがましい」
リーダーたるもの、部下をうまく動かして、団体として最大の功績をあげるよう導くことが大事な評価要素となります。しかし、それは、自分が勝手にストーリーを描いて、そこに部下を計算通りに踊らせることではありません。
大事なことは、やる気のない部下にやる気を出させ、自発的な活動を呼び起こすこと。
一人ひとりやりたいこと、できることは違います。その中で、部下にやりたいこと、できることを自発的にできる限りやってもらい、上司はその後残った残務を処理するというのがもっとも合理的で、計算が立ち、団体の活動を最大化する方法です。
他人を自分の思うように動かそう、などと思っている時点でリーダー失格で、大した功績は残せません。
他人を思うように動かすことはできないが、やる気にさせることまではできる、これをふまえて、チームをどう導くか計算していくのがリーダーの役割なのでしょう。

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2014年4月 2日 (水曜日)

グループに仕事を投げてみてわかること

複数の人間が所属するグループに、一定の仕事を投げ、「うまく分担してやっておいて」と依頼することは結構あると思います。そして、そのこなし方で各構成員の資質が結構見抜けます。
まず役割分担をするためにリーダー的な役割を担う人が必要で、これを自発的に引き受ける人は有望株です。
しかし、コミュニケーションが下手な人間がこの役割を担うとチームがうまく機能せず、リーダー的な役割を引き受ける人には、その素質と個人的な資質を垣間見ることができます。
次に注意すべきは、中核的な仕事をしている人、質の高い仕事をしている人を見逃さないこと。
中核的な仕事は、自然とチームの中で一番能力の高い人に任されがちで、また、同じ仕事をしていても質の違いは必ずあるため、こうした点から「誰が能力が高いのか」しっかり見極めることができ、また見極めておくべきでしょう。
最後に、影でさぼっている人を見逃さないこと。
グループとして与えた仕事を完遂してくれればよい、で終わらず、グループの中で力を発揮できなかった人、影でさぼっている人をしっかり見極め、以降のチャンスを減らすことも大事です。
このように、グループに一定の仕事をざっくり投げてみても、その構成員のことが結構いろいろわかるもので、それをしっかり見極めて、以降の役割分担につなげていくことがとても有用だと思います。

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2014年2月14日 (金曜日)

発注に適合しない仕事

専門職の人には、マニュアル通りにしっかり間違いのない仕事をしたのに、評価されないということがどうしてもあります。
わかりやすい例が、料理。専門家が「○○のふんわり感と、××のサクサク感が絶妙」と称賛する料理であったとしても、その料理を提供された客が、「食感の違う料理がごちゃごちゃしていて食べにくい」と感じたら、その料理は評価されません。
仕事は、発注に見合ったものを提供してはじめて価値のあるものです。
私も時々、依頼主の発注内容を誤解し、客観的にはきちんとマニュアルに則った内容の充実した仕事を提供していても、相手の希望に添えていないということがあります。
こうした時、私はすぐに謝り、相手の発注内容を正確に理解して、仕事をやり直します。
ところが、プライドの高い専門職の人ほど、このような場面で素直に謝らず、いかに自分の仕事が素晴らしいかを力説したり、挙句、相手の感性がおかしいと批判に至ることさえ見受けられます。
「おいしい料理」を食べに有名シェフの店に行ったら、あまりおいしいと感じられない料理を出され、シェフはひたすら自分の料理の自慢話をする、このような店が長続きするはずがありません。
相手の発注を見誤って、計算外の評価を受けることが時々あることまでは、人間である以上仕方のないこと。
それを強引にミスでないようにもっていこうとするか、謙虚に謝って速やかに仕事をやり直せるか、本当に周囲から評価される専門家となるために間違えてはいけない分岐点の一つではないかと思います。

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