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2020年2月 6日 (木曜日)

ポイ活の穴

木曜日は、経済ニュースを、法律・会計・税務・知財にまたがって横断的に分析するコーナーとしたいと思います。今日のテーマはポイント集め。
ポイントを貯める活動「ポイ活」が流行っているようです。私は自分の預金残高を感覚で把握しておきたいため、できる限り現金決済するためポイントには疎いですが、本当は非現金決済の方がかなりお得であることは理解しています。
たとえば物を購入して得たポイントは、将来ほしいものを安く買える権利ということで財産的価値がありそうですが、単に将来買い物をした際に値下げしてもらったというだけの話で、現在、個人の所得税上課税はなされません。ただ、ポイントを有償譲渡できるようになると有価証券同様の権利となりますので、所得税が課税される可能性があります。
これに対し、法人税上の課税関係は複雑です。すべて書いていると相当な長文になるので、新収益認識基準適用後のごく簡単に典型例の処理を記載すると、付与ポイントのうち、消費税以外の部分を契約負債として繰り越す処理となります。つまり、売上から付与したポイントの、消費税を除いた本体部分を減額し(つまり法人税も減額されます)、将来ポイントが使用された際や失効した際などに繰り越した部分の売上を計上する(つまりここで繰り越した部分について課税される)のです。
これはあくまで典型例で、ポイントの在り方によってさまざまなパターンがあり、実態に合わせて会計・法人税・消費税それぞれの処理を丁寧に整理して処理しなければならず、これはかなり大変な作業になります。
しかし、現場が混乱していないのは、実際には自動計算のプログラムを組み込んで、売上計上と同時に、ポイント処理もすべて自動で計算・処理される仕組みが構築されているからです。ですので、現場の人間はポイントをめぐる複雑な処理をほとんど意識せずに対応しているのではないでしょうか。
その穴が突かれたのが先日の高額の宿泊施設キャンセルによるポイントの不正取得の事件です。本体取引がキャンセルされた場合、当然当該取引に伴う発生ポイントは消失処理されるべきで、このような単純な処理を失念していたということに多くの方が驚いたと思いますが、その背景には、ポイント処理がコンピューターの自動処理任せになっている実態が見え隠れします。
AIによる自動化がよく叫ばれる世の中ですが、あるべき姿はAIを活用した人間の生活の最適化。そのためには、自動計算の内容を人間が理解してチェックすることが必須であることに改めて警鐘をならす事件であったと思います。

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