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2018年8月20日 (月曜日)

正確ファーストではないことを明確に

日本の電車は正確に運行します。ですので、我々は時刻表の時刻に遅れることなく駅に到着することで規律を身に付けることができますし、分単位の針の穴を通すようなスケジュールを組むことができます。
しかし、電車はしばしば遅れます。人身事故が発生すれば警察の現場検証を含めて2時間程度は不通になりますし、痴漢が線路を逃走したり、踏切や信号が故障したり、線路脇で事故が起きたりすれば電車を動かすわけにはいきません。
これらはすべて、電車運行の安全がダイヤの正確性よりも優先される事項であるために生じることです。この価値判断は間違いなく正しく、否定される論拠は少ないでしょう。
しかし、先日沿線火災のため電車が止まった際(昼間に)、乗客からのこんな無茶な会話が聞こえました。
「電車が止まったせいで、予約していた特急に間に合わず、「大事な商談にいけなくなった。破談に伴う損害全額を支払ってもらう」
不可抗力の事故で電車が遅れて、それによる特急への乗り遅れが生じても、鉄道会社は乗車料金の返金に応じる必要はありません。が、鉄道会社はおそらく常識的な判断で、特急乗車のキャンセルを認めて返金に応じるでしょう。しかし、昼間の停車で、夜には目的地にたどりつける状態で、ギリギリの予定を組んでいた人の予定が狂うことまで面倒を見るまでの余裕はなく、その必要もないでしょう。
鉄道ダイヤは正確ですが、鉄道会社が提供するサービスは安全性が絶対優先で、正確性はこれに劣後する要素です。このことを皆が理解しなければ駅員に酷なモンスタークレームがなくならないのかと思います。
これは電車のダイヤに限らず、たとえば個人の仕事にもあてはまりそうです。「きちんと納期を守る」が仕事の売りの人は結構いると思います。これは素晴らしいこと。しかし、重視しているのは納期で、いいかげんな仕事を納期に出すのではなく、品質優先で、そのうえで、頑張って納期を遵守するというのが本音のはずです。そうであれば、上記の例のように、「納期遵守よりも品質を重視している」ということをはっきり表明しないと、想定外のモンスタークレームを受けることになりかねません。
時間に正確なのは素晴らしいことですが、それで思わぬ批判を受けては大損です。正確性を売りにしつつ、それよりも安全とか正確とかより重視する価値があることを表明することが大事な工夫になります。

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