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2017年3月28日 (火曜日)

「記憶にない」証言の崩し方

最近、大きな事件で高名な方が「記憶にない」と発言するケースが次々と報道されています。この「記憶にない」という発言は非常に厄介な物です。
一般的には、怪しい人物に対して「記憶にない」で逃げられてしまうと、追及の手が甘いと批判されます。弁護士も、依頼者によく「相手は嘘をついています。物証はありませんが先生の力で嘘を暴いてください」と軽々しく言われますが、相手がとぼけていることでも、その内容を無理に言わせる方法はありません。
まだはっきり嘘をついてくれた方が攻めやすいです。嘘は必ずどこかに綻びが生じるもので、それを探し当てれば相手の嘘は見破れます。しかし、「記憶にない」という発言はその端緒もないうえ、仮に後で新事実が発覚したとしても、発言者は嘘を述べたわけではないから処罰されず、精神的にも余裕があります。
このように「記憶にない」発言を崩すのは困難で成功率は総じて低いのですが、あえてその対策を考えるならば、まずは何か話させること。
たとえば不倫を疑う場合に、正面から「Aさんを知っているか」「記憶にない」では話が進みません。ある程度かまをかけて「金曜日の夜何をしていたか」「仕事の後どこへ行ったか」「食事は家で食べたか」など具体的な質問をして、少なくとも「はい」「いいえ」の答えを引き出すことがとっかかりになります。
もちろん、この答えが真実なら発言者には何もプレッシャーにはなりませんが、事実でないことを口にしてしまった場合、それは処罰等を受けるリスクとなり、プレッシャーを与えます。
そこで、何が嘘であるかを見極めて、どんどん嘘の上塗りをさせて、客観的な物証との食い違いにまで持ち込めば、ここでようやく相手の発言を崩せます。
「記憶にない」という発言を崩すのはそれだけ難しく、私もついつい淡泊な追及で終わりがちなのですが、本当に崩すべき場合は、関係者でしっかり密に打ち合わせして、嘘をしゃべらせ、嘘を見極め、物証との違いにここぎつける、「執念」が必要になります。

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