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2017年2月 7日 (火曜日)

犯罪被害者の損害賠償請求マニュアル

犯罪被害者がいかに犯罪者に損害賠償請求していくかについては、いろいろ難しい問題があります。今日はこれをごくごくシンプルにまとめてみたいと思います。
・起訴前、相手に資力があり、刑事処罰にはこだわらないケース
相手に資力があり、絶対に厳罰を望むわけではない場合、起訴前の示談が有効です。
現状の民事判例上、犯罪被害者が犯罪者を相手に損害賠償請求訴訟を起こして、弁護士費用を支払って十分納得のいく手取りが残るケースはあまり多くありません。ですので、起訴前段階で裁判をせずに、かつ、相手は刑事罰を免れるかもしれない点を交渉材料に相場よりも大きな金額で、この時期は示談できる可能性があります。
ただし、示談してしまうと、社会的には無罪放免、相手は好き勝手言うことができてしまうので、示談契約内に、「SNS等で事件について一切触れない。触れた場合、相手方に300万円支払う」といった表現制約条項が必要になるでしょう。
・起訴後、裁判中のケース
起訴後、裁判中はすべての被告人に弁護人がつきますので、被害弁償の話になりえます。
被害全額(無形の被害含む)の提示があった場合、それを受け取れば民事的には解決ですが、間違いなく減刑の嘆願を同時に求められると思います。それを断ると、もう任意ではその金額は提示してもらえないと思いますので、ここで、被害弁償の受領を優先するのか、相手の刑事罰を優先するのか判断が必要になります。
提示された金額が被害全額(無形の被害含む)でない場合、受け取って問題ありませんが、書面には減刑に応じるという条項をいれてはいけません。その金額を受け取ったという書面は裁判所に提出され、後は、裁判所がその事実をどう評価するという話になります。犯罪全体に対して、その弁済が大きな割合を占めるなら減刑判断につながりますし、割合が大きくないならば、事実上スルーされます。
・刑事裁判中に決着がつかなかった場合
刑事裁判中に被害弁償を受けられなかった場合、民事訴訟の提起が必要です。ここでは、刑事事件の証拠も使えるので、比較的簡単に裁判に勝つ事はできるでしょう。
問題はその後で、相手に資力がなければ損害賠償金は得られません。ですので、相手が無職で長期の懲役に服する場合などは被害弁償を受けるのは困難で、多くの場合消滅時効で請求権がなくなってしまいます。
それは仕方ないのですが、最近、少年Aの問題がありました。子どもを殺して損害賠償義務があるにもかかわらず、その権利が時効消滅した後に本を出して多額の印税を受け取っているという問題です。相手にこのような可能性がある場合、いますぐには被害弁償を受けられなくても民事訴訟を起こして時効成立を先延ばしした方がよい場合があります。
ごくごく簡単にまとめましたが、犯罪被害者の損害賠償請求は、相手の資力と、刑事裁判の進捗によって対応が大きく変わります。
できる限り早めに、弁護士会等で「いくらとれる」ではなく「今どうすべきか」を専門家に聞いた方がよいと思います。

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