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2017年2月21日 (火曜日)

実は危機的な芸能事務所とボロを出しつつある教団

あるタレントの芸能事務所「移籍」をめぐって違約金問題でドンパチやっている件を少し整理してみます。
所属タレントをテレビ番組や映画に出す契約は芸能事務所がしますので、タレントが仕事をしないことによる違約金はまず契約に基づいて芸能事務所にされます。芸能事務所はこの業界で仕事を続けていく以上これを支払わざるをえませんが、報道されているように10億くらいまで違約金が膨らんだ場合支払えるのかという問題が生じます。
違約金を支払った芸能事務所は次にタレント契約に基づいてタレントに違約金の支払いを求めます。タレント側は契約の終了を主張していますがまず認められないでしょう。無名の時期に安い顔つなぎをしなければならないこと、水着モデルの仕事があることなどはタレント契約上当然に想定されるものだからです。よって、タレント契約に基づいて芸能事務所がタレントに求償できるのですが、数億もの金額を1個人が支払えるわけがありませんし、数億の債務を負うなら破産申立に至ると推測されます(これがこの件の問題点で、身勝手な動機で仕事を放棄して生じた債務を破産で消せるのかというポイントがあります)。
そうすると、芸能事務所は違約金を支払ってとりっぱぐれるという最悪の事態が想定されます。そのため、違約金の問題としてすすめるなら教団を交渉の輪の中に引きずりこむことが不可避です。現状、タレントには教団の顧問弁護士がついており、広報など教団の後押しがありますが、教団自身は当事者ではないと主張しています。芸能事務所が教団を巻き込む法的構成は共同不法行為、すなわち、教団がタレントをそそのかして故意に仕事を放棄させて違約金を発生させた、という主張です。現状、この主張を裁判所で展開するには事情も証拠も不足しており、かなりの無理筋です。しかし、今回の本の出版はこれをサポートする重要な事情となります。その点で、今回の本の出版は、教団自身の首を絞める悪手となる可能性があります。また、今後交渉が長引けばタレントはさらに教団に頼ることになり、どんどん教団とタレントが結託して事を進めているという事情が増えていくでしょう。
現状は、芸能事務所側がかなり厳しい状況におかれていますが、粘り強く話を進めていれば教団を巻き込んで状況を逆転させる余地はありそうです。
最後にこの件に対する雑感を述べると、芸能事務所側は、これから先、契約期間満了まで、望まない仕事は入れないから、既存の仕事だけはきちんとやってくれという意向を示しており、その意向は至極まっとうで、本来、この内容で和解すべき事案です。それをごねているタレント側に問題がありそうで、この件自体、教団の広告の一環にされているようで、これから先はあまり意見を述べるにも値せず、注目すべきでもない展開になっていくのだと思います。

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