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2016年11月 8日 (火曜日)

法律構成をたくさん並べた訴状は優れた訴状であるか

訴状には請求の趣旨と請求の原因を記載しなければなりません。請求の趣旨とは裁判で究極的に求める内容。請求の原因とは請求の趣旨を導く事実関係と法律上の根拠です。
時々、この請求の原因としてたくさんの法律構成を記載している訴状を見かけますが、この訴状は優れた訴状といえるでしょうか。私の答えは概ねノーです。
確かに、複数の法律構成が考えられるのであれば、それをまとめて審理してもらった方が勝率があがる場合もあります。
しかし、複数の法律構成を同時並列で挙げても、その訴訟で主張できる事がその数だけ倍増していくわけではありません。一番厳しいのは、法律構成が1つでも複数でも証人尋問の時間はほぼ変わらないということ。ここで、すべての法律構成をまんべんなく質問したら個々の法律構成の掘り下げが緩くなりますし、特定の法律構成に特化して質問したらその他の法律構成は事実上あってないようなものです。
複数の法律構成を掲げて敗訴するとそのすべてについて、改めて裁判を行うことができなくなりますが、1つの法律構成のみに絞って争った場合、その他の法律構成で改めて訴訟提起できる場合があります。
訴訟ではなんでもかんでも言っておけばよいというわけではなく、限られた審理時間の中でいかに本命の法律構成を充実させるかが大事。ですので、あれもこれも主張している訴状は一見味がよさそうで、訴訟の終盤に収拾がつかなくなるおそれがあるわけです。
特に訴状は、裁判官が最初に目を通す書類であるため、事件の本質を理解しやすいよう、むしろ多くを語らず、中核的な主張にしぼって確実にアピールする方が有効だと考えられます。

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