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2016年9月20日 (火曜日)

性犯罪の示談における駆け引き

某事件がまだ記憶に新しいですが、一般論としての性犯罪の示談における駆け引きについて、私も、被害者側。加害者側双方で何件か担当した経験があるためまとめたいと思います。
まず、交渉段階では被害者側の方が立場が強いです。加害者側は一定のタイムリミットまでに示談すれば刑事手続きを免れ得る反面、このリミットを過ぎると示談金を支払ったうえ、刑事責任も負うことになりかねないので、急ぐ必要があります。
しかし、こうした案件の性質上、犯罪行為を犯したという事実関係を加害者がはっきり認めなければ被害者は通常、交渉の席につきません。
ですので、交渉に入る段階では、
被害者側は、相手が事実をすべて認めて、相手から「相場よりも高い示談金を用意するので交渉してください」と言ってくるまで特段のアクションはとらないのがセオリーで、
加害者側は、事実が間違いなく、刑事責任を免れたければ、少し多めに示談金を支払ってでも速やかに交渉で解決すべき反面、事実関係に反論する部分があり、それを裁判上裏付ける可能性があるのであれば、この段階での示談はしない、というのがセオリーになります。
ここで交渉がまとめることは、被害者側にも、民事裁判を起こすよりも早く高額の示談金を得られるというメリットがあります。
しかし、立場が逆転するのはここから。示談が成立し、刑事事件が不起訴処分となると公には正確な事実関係はわからなくなります。
ここで、加害者側は自己の名誉維持のために、犯罪の事実はなかったがやむなく示談に応じた、という声明を発表できますが、被害者側は事件の性質上なかなか表に出られず、対抗言論で争う事が制限されています。
その結果、ネット上の意見の流れ次第では、加害者よりの意見が強くなり、さらなる二次的被害が広がるということになりかねません。
この結論はどう見ても不合理。これを解消するポイントは交渉を始める段階での工夫。すなわち、
被害者は相手が事実関係を全面的に認めていない限り早期の示談には応じない
加害者代理人も、事実関係を認めていない段階では示談ではなく裁判での正しい事実関係の追求を優先的に推奨すべき
という態度で、交渉に入る前段階として、事実関係に争いがないことを書面で確実に取り交わすという工夫が考えられます。
特に被害者側は、示談成立後に思わぬ二次的被害を受けないよう、立場の強い段階でしっかり相手の逃げ場を潰していくことが、今後ますます求められていくのかと思います。

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