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2016年3月 1日 (火曜日)

商品類似の判断基準~知財高裁平成27年(行ケ)第134号事件判決をふまえ

商標のマークが似ているかどうかが争われる案件はたくさんありますが、指定商品が似ているかどうか争われるケースはほとんどありません。
指定商品が似ているか否かは、まずはその商品分類、そして、さらにその商品の品目を細かく落とし込んだ類似群コードが合致するか否か、という形式的な基準で判断され、そこに議論の余地はほとんどないからです。
標記裁判例は、この指定商品の類似が争われ、特許庁の判断が覆った案件です。
先に登録された商標は、標準文字のDualScan 指定商品は10類の体脂肪測定器、体組成計です。
後から登録された商標はカタカナと横文字のDual Scan 指定商品は9類の脂肪計付き体重計、体組成計付き体重計、体重計です。
このケースについて、マークの類似はほぼ争う余地がなく、指定商品の類否についても、前者は第10類の医療用機械器具(類似群コード10D01)、後者は第9類の測定機械器具(類似群コード10C01)であるため、判断基準に従えば非類似。
したがって特許庁は後願の商標登録を認め、先願権利者からの異議を退けました。
これに対し、知財高裁は医療用機器としての計測器と測定機器としての計測器の市場が一部重なり合っていることなどをふまえ、両者は類似すると特許庁の判断を覆しました。
常識的に考えれば、これらの商品は計測器として注目されるもので、医療用機器であるか測定機器であるかはあまり重要な要素ではないはずです。
特許庁の判断基準に正確に則った判断は何ら間違ったものではありませんが、最終的な結論は知財高裁の判断が妥当だと思われます。
その結論を導くために、判決文は商標の裁判としてはかなり詳細に事実を認定して評価していますが、そこまでしなければこの結論は得られなかったというのが私の率直な感想で、それは基準に則った判断をすることがきちんと徹底されている日本ならではの事情があったのかと思います。

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