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2016年2月23日 (火曜日)

内容証明郵便の内容をめぐる駆け引き

弁護士を通じた事件処理は、内容証明郵便で相手にこちらの要望をつきつけることから始まります。
この内容、マニュアル仕事をしていれば誰が書いても似たような文章になるのですが、実は相手の出方を見て丁寧に組み立てるべきデリケートなものです。
まず、喧嘩を売る側のターン。
最初は要望を提示する段階なので、遠慮せず求めうる最大の要望をぶつけるのがセオリーです。ただし、相手のある話なので、その全てが叶うとは思ってはならず、全てを叶えるのは長い裁判を経て全面勝訴した場合に限られると考えておいた方がよいでしょう。
次に警告書を受けた側のターン。
こちらも、マニュアル仕事をしていたら、相手の要望を理由をつけて全部否定するだけの返事分を返すケースが多いように思われます。
もちろん相手の要望に理由がなさそうな場合はそれでよいのですが、弁護士が検討のうえ受任した案件。請求者の要望に全く理由がない確率はあまり高くないはずです。
そこで、数れた弁護士は、形式上は相手の要望を否定しつつ、訴訟に持ち込ませずうまく好条件での和解に持ち込む巧みな文章を織り交ぜます。ここが、マニュアル仕事と優れた弁護士の仕事の違いが顕著に現れる1つのポイントです。
さて、請求者側に戻ってきたターン。ここでダラダラと書面のやりとりをするのははっきりただの時間の無駄です。
書面のやり取りはお互いのカードの一部を見せ合って腹の探り合いをする駆け引き。
カードを持っていないといけない原告側(請求者側)がダラダラと腹の探り合いを続けても手持ちカードをなし崩し的に開示するばかりで話し合いはなかなか進みません。
事件の早期解決は以下に相手に敗訴リスクを自覚させて早期の譲歩を促さすかにかかっています。
要望の全部否定している相手にちまちまと断片的に主張や証拠をぶつけてもまず態度は劇的に変化しませんし、その間にどんどん請求者側の立場は悪くなります。
勝算があるなら早々に訴訟提起して裁判所から相手に敗訴リスクを通告してもらう、勝算が微妙ならまずは相手との接点は棚上げして証拠を徹底的に洗い出して固める。これが最善手です。
何度も書面のやりとりを続け無駄に時間や費用ばかりかけるのはどちらの側からも無益な場合が多く、優れた代理人はこれを見越した内容を文章に織り込んでいます。
誰が書いても同じように思えるちょっとした文章の内容やちょっとした事件処理の舵取りに、事件をスマートに解決できる代理人と、目先の時間やタイムチャージ稼ぎの弁護士の違いが意外にはっきり現れると感じます。

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