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2011年3月24日 (木曜日)

部下を信頼して非合理をとる

裁判を進めて、裁判所から金銭支払の和解案が提案された場合、被告代理人としては、できる限り和解の方向で依頼者と話をします。
裁判所が支払を提案する以上、一部でも敗訴する可能性が高く、敗訴判決を受けるのであれば、その金額から若干減額してもらうなり、分割支払や支払期を繰り延べるなりして、和解したほうが条件的に有利だからです。
しかし、このような状況でも、和解に応じず、1円も支払わないという態度を堅持する被告がしばしばいます。
明らかに不合理な態度ですが、それはそれなりに理由があるものです。
個人の場合、どうしても感情的な部分が大きいのでしょう。
弁護士としては、感情よりも合理性をとったほうがよいとアドバイスしますが、人によっては理屈よりも感情の価値を重んじる方もいますので、予想されるリスクを告知した後は、無理な和解は勧めません。
意外とあるのは法人の事件で、内部の人間を信頼するために和解に応じないというケースがあります。
裁判所の事実認定が被告にとって思わしくなく、和解を提案された場合とは、要は、その裁判の証人や、経過報告をあげた担当者の説明内容が信用できないという場合です。
しかし、裁判所が自分の会社の部下の説明が信用できないといわれたから、すぐに会社の保身をはかって和解するというのは、その部下に対する面目がたちません。
自分は部下を信じる以上、裁判所の提案自体が間違っている。
それは判決を見た上で、正々堂々と戦おう。
このように考える会社が結構あるようで、これもまた、金銭合理性以上に重んじるべきものである場合はあると思います。
というわけで、和解するのが合理的ですが、人の価値観は様々ですので、弁護士も裁判所も無理な和解の勧めはせず、判決にいたるケースがあります。
ここで、被告代理人が注意すべきは、本人の思いを汲んで和解を蹴ったとしても、負けっぱなしでよいわけではなく、判決後速やかに動き、強制執行まではされることなく、被害を最小限におさえる必要があるということです。
なぜ、合理的な行動がとれないのか、その理由はペイするのか、ペイしない場合どうすべきなのか、表向きの言動に惑わされず、しっかり情勢を汲み取りながら事件を進めていく必要があります。

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