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2011年3月31日 (木曜日)

プロスポーツ契約と信義則

私が原告代理人の一人をつとめている事件で、逆転勝訴判決がありました。

http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2011/03/30/kiji/K20110330000531280.html

事実関係に争いのある事案なので、争いのある部分については、あまり触れませんが、争いのない事実として、プロスポーツ契約の満了約40日前に、チームが選手に契約延長のオファーを出し、選手としてもこれを受ける前提で、細かい条件の調整に入っていたところ、前年度契約期間中の休暇取得の点などをめぐってチームが選手に嫌悪感を持ち、契約満了30日以内になってから、契約を更新しない旨を通告した、という経緯があります。

この争いのない事実だけでも、選手側が勝ってしかるべき事案のはずで、名古屋高裁の正当な判断にほっとしています。

確かに、プロスポーツ契約は特殊な労働契約で、一般の労働契約のような強い継続性の原理は働かず、ある程度は、チーム側の裁量が広く認められます。

ところで、一般の期間雇用契約の場合、契約を更新しない場合、契約満了30日前までには、契約更新しない旨を労働者に伝えなければなりません。

これは、労働者の次期の契約をする機会を保護するためのもので、プロスポーツ選手にも、同様の機会が保護されるべきです。

また、一度チームから契約延長のオファーが出された後の撤回行為ですので、チームの完全な裁量ではなく、相応の理由がなければならないというのも当然のことです。

その他もろもろ主張していたのですが、この事情下で選手が勝つのはおかしいと思われる(少なくとも1審裁判官はそう判断した)のであれば、現行法の労働法から導かれる結論が、労働者に過保護だという意識があるのではないかと思います。

この裁判では、争点はもっぱら契約締結段階の信義則違反ですので、労働法の解釈はなされていませんが、結論を出すうえで、労働法を正確に適用するとどうなるのか、それがプロスポーツ契約であるという点でどう変容されるか、という価値判断はなされたのではないかと思われます。

ともあれ、こうした事件は、契約交渉にあたってのルールが整備されたプロ野球やJリーグでは考えにくいことです。

いろいろなスポーツが発展していくことは歓迎すべきことですが、プレーヤーがいなければスポーツはできません。

新しいプロ制度を発足させる場合、選手がきちんとプレーし、給料をもらえる最低限度の環境はきちんと整えられるべきだと感じさせられた事件でした。、

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