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2010年7月 9日 (金曜日)

人並みの対応が一番お得

訴訟にて、10の経済的利益を求めるとします。
当然、個別の事案により変化はしますが、
訴訟提起前の和解なら7~8
尋問前の和解なら8~9
尋問後なら9.5
あたりの経済的利益があれば和解を勧めます。
訴訟追行の時間的・経費的・体力的・精神的負担を割り引いていくと、おおよそこのあたりが損益を判断するうえでの分岐点になってくることが多いです。
割り引くもう1つの理由としては、双方に弁護士がつき、弁論準備に付して争われる事件ともなれば、いかに証拠関係が固いと思っても、勝訴確率が100%とは言いきれないケースが多く、リスク回避の点も挙げられます。
平均的な弁護士同士の交渉では、訴訟の見込についての認識が近づけば近づくほど、和解の落とし所も近づいていきますが、これも、人により差こそあれど、上記のような損得勘定を、意識的にせよ、無意識的にせよ、行なっているからでしょう。
これは、平均的な当事者同士でも同じことがいえます。
しかし、一方が平均的な当事者でないと、この均衡は簡単にくずれます。
よくいるのは、「いくら時間と労力がっかってもいい。必ず10の経済的利益をあげろ」という方と、事件に私情を挟んで感情的になる方です。
前者の方には、損得勘定の説明は試みるべきですが、権利を行使する選択である以上、代理人がおさえこむケースではありません。
後者の方とは、粘り強く常識的な話を試みる忍耐力が必要でしょう。
ここまでは、仕事である以上、当然になすべき対応です。
問題は、こうした方が「金を払っているのだから、弁護士は依頼者のいいなりに動くべきだ」とか、「弁護士が見込みがありますといったので、この裁判は100%勝つに決まっている」との考えに至っている場合です。
この場面においては、弁護士は依頼者に「違う」「ノー」をつきつけなければ、どんどんどつぼにはまっていくでしょう。
全国的な和解率の低下、濫訴の増加、弁護士と依頼者のトラブルの増加、当事者同士のトラブルの増加、これが全て当事者側の原因だとは思いませんが、不況が原因なのか、日本人が和の心を見失いつつあるのか、何かぎすぎすしたことが多いと最近ときどき感じます。
こういうときこそ、標準にたちもどり、顕著な特徴もなければ、失敗も少ない、そうした弁護士・人間からスタートし、理に適った活動を心がけていくべきと思います。

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