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2010年5月20日 (木曜日)

主張は厚く書くべきか

弁護士の大きな仕事はいうまでもなく、「主張」ですが、これを厚く書くかどうかはケースバイケースです。
主張を厚く書くメリットとしては、
・裁判官や相手方に、事件の背景や経緯・こちらが正しいということを余すことなく伝えられる
・こちらの、事件に対する執念を見せ付けられる
などがあります。
他方で、デメリットとしては、
・相手につけこまれる要素も開示してしまうことになる
・裁判所や相手方に斜め読みされ、肝心な部分が十分に伝わらない
などがあるでしょう。
比較的負け戦で、少しでも挽回したり、よりよい和解条件を引き出すために使われるやり方です。
これに対し、勝勢明らかな事案では、逆に
・大事なポイントだけ簡潔明快に提示し、最速での解決を模索する
・相手方に余計なつけいる隙を与えない
ために、簡潔な書面を作成される方が多いです。
私のこれまでの書面を見渡しても、基本は、要点だけをわかりやすく示した簡潔な書面ですが、本気になった(ならざるをえなかった)ときだけ長文になっています。
さて、基本はあくまでそれでいいのですが、当事者双方が簡潔な書面しか出さないと問題が生じます。
主張自体は簡潔で、争点は、原告と被告のいずれが言っているほうが正しいかにあり、とりあえず証人尋問しないことには和解のとっかかりもない
という事件はいくらでもあります。
そうした事案で、訴状と準備書面をコピペしただけの陳述書を出し、いざ、尋問を始めると、訴訟に現れていない事情が次々と話されるということは、結構珍しいことではありません。
これは、戦略上やむをえない面もありますので、このように簡潔な主張同士で膠着した際は、尋問開始は少し待ち、裁判所や相手代理人から、詳細な求釈明をして、関連事情を整理する必要があるでしょう。
主張の多寡は、状況によりますが、相手の主張が少ない場合、薮蛇にならない範囲で、どんどん主張を出させていく訴訟戦略が、今後ますます重要になってくると思います。

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