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2010年4月19日 (月曜日)

勝負は相談から

弁護士は言うまでもなく、勝ち目のない事件を受任してはいけません。
しかし、現実を見ると、請求原因自体の立証不足で請求棄却となっている件は増えているのではないでしょうか。
離婚事件のように、裁判所の評価を要する部分で請求原因が否定されたのであれば、まだ控訴審で戦う余地がありますが、単純な証拠不足であれば、控訴審で判決がひっくりかえることはあまり考えにくいですし、被告が和解に乗ってくることもあまり期待できません。
自分の体験談としても、こうした証拠不足型の被告側事件は、証拠の不足を指摘するだけで足り、和解を想定する必要もなく、場合によっては本人尋問も不要といえる場合もありますので、非常に楽です。
では、こうした事件をなぜ弁護士が受任するのか。
まず、依頼者の相談内容を全て信用した場合、勝訴見込が高い事案ではあるのでしょう。
ただ、それを立証する証拠が足りない。
こちらの主張に対し、相手方がどのような反応をするかわからないので、証拠がなくても勝てる場合があるのは事実です。
しかし、相手が簡単に請求原因事実を認めてくれると期待するわけにはいきません。
証拠不足による請求棄却判決が出る理由は、訴訟提起前に証拠の検討が不十分で、「相手が認めるだろう」とか、「和解でなんとか落とそう」と簡単に考えた結果ではないかと思います。
さて、訴訟は提起したが、敗訴したというのであれば、最悪の結論であり、依頼者と綿密にコミュニケーションをとりながら事件処理を進めていても、大きな不満の種を抱えることになってしまいます。
これを避けるためには、
・訴訟提起前に必ず相手方と交渉して、争いのない事実を確認する
・想定される直接証拠の有無は必ず確認し、ない場合は理由をたずねる
・「~円請求したい」「離婚したい」といった「要望」に対し、必ず裁判上の限界とリスクを説明する。
・直接証拠がない場合、少し時系列を広げて深く事情を聴取し、間接証拠の有無と量を確認する
といったことが大事だと思います。
仮差押申立事件や請求異議申立事件など、事前に相手方と交渉できず、スピードを要する事件では事前交渉はできませんが、それ以外の案件では、事前にしっかり主張と証拠の構造を整理し、時に依頼者の主張を疑い、時に依頼者の要望に苦言を呈してでも、リスクの少ない事件処理を進めていく必要性があるでしょうし、我々弁護士は今一度、その重要性を再確認すべきではないかと思います。

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