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2010年1月25日 (月曜日)

最強のカードと最良のカード

代理人は言うまでもなく、依頼者にとって最も有益な主張を尽くす義務があります。
裁判上採用されなさそうという勝手な判断で依頼者の認識と異なる主張をしてはいけませんし、
裁判で負けそうだからといって弱気な交渉をしてはいけません。
ただ、すべき主張は「最も有利な主張」ではなく「最も有益な主張」です。
いないと思いますが、当事者の認識に反して虚偽の主張をしてはいけませんし、
「最も有利な主張」に固執して「有益な解決」のチャンスを逃すのも失策です。
原告側からすれば、予想される判決に近い金額を、尋問前に早期に和解で得られればほぼ100点満点の有益な解決だと思います。
被告側からすれば、予想される判決からできる限り下げた金額で和解できるのが最も有益な解決です。
よって、裁判例を予測し、時に裁判官の腹をさぐり、落としどころを見出してそこに早期に誘導するのが優れた弁護士の仕事のあり方でしょう。
しかし、弁護士がお互いに「最も有利な主張」に固執すれば、訴訟は膠着状態で和解ができず、判決になるか、判決直前で判決同様の内容で和解することになります。
これは、裁判制度がある以上、原告にとっては最低限度の結果であり、被告にとっては最悪の結果だと思います。
「最も有利な主張」を展開しつつも、時に柔軟に妥協し、和解成立に向けて歩み寄ることも「最も有益な主張」となる場合があります。
一度譲歩するとずるずる引きずられる場合にはきっぱりと和解を断る必要がありますが
一方が譲歩すると他方も折れやすく、和解が急展開で成立することもあります。
依頼者が事件にどれだけこだわりがあるかで、対応が異なってくるのが難しいところですが、依頼者に「最も有利な法的構成」を主張する裏で、「依頼者に最も有利な結論」を模索し、そこにいかに誘導するか考えながらの活動を常に心がけていきたいと思います。

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