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2009年4月10日 (金曜日)

尋問は2度できない

裁判における法律構成の考え方は大きく2つあります。

1つめは依頼者に最も有利な結論をもたらす構成

2つめは裁判例や裁判官の示唆などから合理的と思われる構成

です。

民事でも刑事でも、依頼者から委任を受けて事件処理を行う以上は前者の構成をとるのが普通ですが、できる限り敗訴の確率を下げるためには、後者の構成を主張しておくことも大事です。

これが相互に矛盾しない主張や、請求内容に大差ない場合は、両者の主張を並べたり、主位的・予備的に構成したりいろいろ手法がありますが、どうしても二つを並べられない場合もあります。

このような場合、要件事実さえ主張・立証されていれば裁判所が法律構成を考えて判決を書くため、判決をあけてみて「え~~っ?」というどんでん返しがある場合があります。

当事者の想定していない法律構成で判決を書かれるのならば、その法律構成に対する当事者の攻撃防御の機会を保障すべきですが、尋問後に急に裁判官が新たな法律構成を示しても、上訴審で反論が主張できるだけで、再尋問等立証活動はほとんど制限されます。

これでは、結局裁判官が「俺がこう考えるからいまさら何をやろうと見解は変わらないよ」と言っているようなもので、必ずしも適正な事件解決も当事者の納得も図れないと思います。

ポイントに対して当事者が十分に攻撃防御を尽くしたうえで、それらすべてに答える判決を書いて事件処理といえるのではないでしょうか?

代理人や当事者のうっかりで、見落とした主張・立証の機会を確保すべきかどうかは別にして、当事者の主張と裁判所の考え方が違うなら、裁判所は遅くとも尋問までに法的観点を指摘するべきですし、尋問後にいきなり考えた理屈をふりかざす裁判官はあまり能力が高くないのではないかと疑いを感じます。

事件処理は誰がやっても同じというのは空想で、代理人と裁判官の能力や考え方に大きく依拠するのだということがわかります。

このような事態を防ぐために、代理人としては十分に裁判例を検討したうえで、法律構成を精査すること、そのうえで、裁判官がどうも違うことを考えているようであれば、裁判官の法的観点をできる限り引き出すことが大事です。

今まで、裁判事件の処理は頭のよい裁判官の先導にただついていくだけでよいと考えることもありましたが、依頼者の利益を守るためには、裁判官を動かしていくことが大事だと最近よく感じます。

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