« 意見は事実を語る | トップページ | 親が求める教育サービス »

2009年3月31日 (火曜日)

法のアメとムチ

AがBに壺を渡し、「代金はあとでいいから」と言った場合。

その後、Aが売買代金として1000万円をBに請求し、Bが「あんなもの二束三文の価値しかないから代金なんか払えるか」と答えたケースを想定してみます。

意外と似たようなケースは身近にあるのではないでしょうか?

双方の言い分が異なるため、裁判になる可能性が高いですが、これを地裁の裁判官が裁くと、売買契約の成立を認めたうえで、双方に壺の価値について主張・立証させ、時に証人尋問でひょっと出た「だいたい○○円くらい」という証言だけで強引に心証をとり、Bに一定額を支払わせるケースが多いでしょう。

ところが、これが高裁の判断となると、売買契約の要素である売買代金も、その金額を定める方法についても合意がないので、売買契約は成立していない、と、要件事実論でバッサリ切り捨てるケースが多いと思います。

常識的に考えて、物を贈与ではなく受け取って、お金は払わないというのは奇妙な結論で、前者の考え方は至極当然の判断のようにも思います。

しかし、法律上の理屈を厳密に考えれば、代金を定める方法すら取り決められていない約束を売買契約と呼ぶわけにはいかず、法律の執行者としては、売買契約の主張は退けなければなりません。

1審でできる限り、常識的・和解的な解決を試み、それでもなお高裁でケンカするなら、法律の理屈で切り捨てるしかない、というのは、よくよく考えればよくできているものだと感じます。

弁護士もよく陥る罠ですが、日頃なあなあにしている取り決めが、裁判所では通用しないということは結構あるものです。

このような場合、強気で戦うのもかまいませんが、最終的には地裁で和解しておくのが、費用対効果の面でもリスク管理の点でも大事だと思います。

|

« 意見は事実を語る | トップページ | 親が求める教育サービス »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 法のアメとムチ:

» リスク管理 [リスク管理]
リスク管理は組織の損失を防ぐために重要です。リスク管理・リスクマネジメントのために。 [続きを読む]

受信: 2009年4月23日 (木曜日) 22時44分

« 意見は事実を語る | トップページ | 親が求める教育サービス »