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2009年2月24日 (火曜日)

離婚事件は難しい

東京家裁では、しばしば離婚訴訟について、訴状審査の段階で、原告代理人に訴えの取り下げ勧告がなされるという話を聞いて驚きました。

離婚案件は、当事者の感情の琴線にふれる事件であるため、弁護士として軽率な発言をすることは許されず、非常に気をつかう事件です。

そのためか、依頼者にはっきりと物を申しにくく、勝算はあまり高くないことを知りながら、依頼者の要望に従い、離婚訴訟を提起したというケースが多いのかと思います。

間違っても、原告代理人が勝算を見誤ったり、着手金目当てで勝てない事件を受任したのではないことを祈ります。

裁判離婚を求めるうえで、重要な事情は、別居期間と、被告の有責性です。

相当の別居期間があれば、原告に特段の問題がなければ離婚は認容される見通しがたちますが、別居期間が短い場合、被告の責任を主張・立証しとおさなければ、なかなか離婚は認容されません。

調停では離婚に応じていても、裁判では争うかもしれない

性格の不一致は離婚原因になるが評価が難しい

軽度のDVや浮気が先行していても、被告が猛省していればやはり離婚は困難

不貞は事実上直接立証が不可能であるため、裁判所による推認に期待しなければならない面が否定できない

などなど、検討事項は枚挙にいとまがありません。

だからといって、依頼者に「これでは勝てない」とは、なかなかいいづらいですし、いうべきでないケースは多く、非常に難儀です。

ただ、裁判上のルールはルールで、当事者の希望や感情で左右されることはあまりなく、それは我々弁護士が的確に把握し、依頼者を最善の方向へ導いてあげる必要があります。

何らかの理由があって離婚したいという要望があれば、協議・調停で精一杯離婚成立に向けて交渉する。

その中で、離婚に至る決定的な事情がみつかれば、裁判で決着をつければよいですが、決定的な理由がみつからない場合は、相当期間の別居という既成事実を固めることに力を注ぎ、離婚を急がせないように気持ちを持っていくことも大事でしょう。

どこの法律事務所にもあり、「誰でもできる」と思われがちな離婚案件は、法律紛争の中でも特にナイーブな、非常に難しい事件です。

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