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2008年3月10日 (月曜日)

21万円の生命保険

破産手続の不思議の一つが、財産を持ったまま免責を受けられること。

多額の退職金が見込めるにもかかわらず、わずかなお金を積み立てるだけで免責を受けられることはその最たる例です。

しかし、これが当たり前になると、自分のわずかばかりの財産を処分しないと破産できないことに腹を立てる債務者もでてきます。

99万円自由財産が認められるのを、お前弁護士のくせに知らんのか

法律相談でこれに似た質問を受けることが時々ありますが、破産の際に、常に99万円の財産を保持できるとは限りません。

預貯金・生命保険返戻金・動産・退職金などの合計が99万円以内であることは必須条件ですが、大阪地裁の運用では、その中の一つの項目でも20万円以上のものがあれば、債権者に全額支払わなければなりません。

すなわち、19万円の預金、保険返戻金、動産があってもこれを持ち続けることができますが、これらが21万円あると、全額返済に充てなければなりません。

預金はおろせばいいだけですし、動産は低く見積ってくれる鑑定人を探せばいいだけですが、生命保険金の額は動かせません。

少し借り入れして、20万円以下にできる場合はともかく、精一杯借り入れして20万円以上ある場合、その額面を積み立てるか、保険を解約するしかありません。

99万円以下なのに何で大事な生命保険を解約せなあかんねん、と思うのは当然ですが、個人破産の場合、債権総額がそれほど高額にはならず、99万円もの財産保有をみとめると不均衡になる場合があったり、予納金も低額で済んだりしますので、やむをえないことでしょう。

たった1円で天と地の開きのある生命保険金の金額と処分には細心の注意を払わなければいけませんが、これに対する当事者の納得もしっかりと得られるよう注意を払わなければなりません。

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