« お食事の時間帯 | トップページ | お初天神に隠れた名店あり »

2007年12月10日 (月曜日)

地裁は争奪戦、高裁はガラガラ

公判前整理事件の増加に伴い、裁判所がそれに費やす時間と労力が圧倒的になり、通常事件の国選弁護事件の数が(少なくとも1日あたりの数としては)ここ半年で大きく減少しています。
国選弁護を年金代わりや孫への小遣いのために行っているお爺ちゃん弁護士や、国選弁護
の有無が経営を左右しかねない零細個人事務所の弁護士は必死に朝一番から並んで国選弁護事件の受任を確保しようとしています。
他方で、高裁国選弁護事件は、増加の一途をたどり、「今週当番だから軽いのを1件だけとりに行くか」と思い行ってみると週の待機弁護士の3倍近い事件が未済だったりして、結局重たい事件を2つ抱えてかえることもよくあることです。
地裁事件は、比較的簡単なものが多く、クリエーティブな部分が多かれ少なかれ残されているので、どんな事件でもこなすだけで、刑事事件処理の経験につながります。
それに対し、高裁事件は、1審弁護人がおおむねやれる弁護活動を全て尽くしたうえでの結論に不満で、1審弁護人の意見を聞かずに、被告人自ら控訴した事件が多いため、被告人のクレーマー率が高く、さらに、特に新たにできることも限られている、やりがいのないきつい事件が多いです。
こうして、地裁事件への人気集中と高裁事件の敬遠の差が顕著になってきています。
私が担当したとある控訴審案件では、わざわざ京都拘置所まで出向き、事情を聞いたところ、被告人に開口一番「金貸してくれ」と言われ、できないと答えると「役立たず」と罵られ、やることの限られている中でできる限りの控訴趣意書を作成して、本人に読んでもらおうと持っていったら「もう取り下げたで」といわれた事件がありました。
2週間の控訴期限でパニックになり、とりあえず控訴したものの、冷静に考えたり、新たな弁護士の話を聞いたら早く刑に服したほうが良いとの結論に至ることはよくある話であり、法曹三者に無駄な仕事をさせたものの、まだマシな終結パターンです。
これを減らすためには、国選弁護人の仕事は、判決をもらって終わりではなく、判決後控訴の見込みまできちんと説明し、意味のある場合だけ控訴するよう説得することが大事だと思います。
もっと問題なのは、自分が犯罪者であることを受け入れず、無罪をとるため、弁護人に無茶な弁護活動を要求する被告人です。
控訴審の弁護を担当する場合、手続の把握はもちろんのこと、弁護活動の限界を適切に見分け、限界をこえる弁護活動はきっぱりと拒絶すると同時に、それができない理由をきちんと被告人に理解させる総合的な能力が要求されます。
非常に大変な仕事で、かつ、私のような若手にとっては怖い仕事ですが、控訴審案件をきちんとこなせるようになると、1歩レベルアップできると信じ、最近は国選案件は控訴審案件ばかりやっています。

|

« お食事の時間帯 | トップページ | お初天神に隠れた名店あり »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 地裁は争奪戦、高裁はガラガラ:

« お食事の時間帯 | トップページ | お初天神に隠れた名店あり »