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2007年11月12日 (月曜日)

ひったくり事件との接し方

高齢者は転んで怪我をするかもしれないから狙わなかったという引ったくりが逮捕されました。
窃盗は最も身近な犯罪の一つですが、その態様はいろいろあります。
引ったくり、すり、万引き、置き引き、体感機を用いたパチンコ機の操作・・全て「窃盗罪」でひとくくりにされますが、態様や犯情は全然ことなってきます。
もちろん最も重いのはひったくりで、他の態様に比べて、起訴猶予で済まされる確率は極めて低いです。
その理由は、ひったくりは強盗と紙一重の非常に乱暴かつ危険な行為で、被害者も恐怖を感じることが大きいからです。
万引きや置き引きは、盗んだものを返せば犯行前と同じ状態にもどることはできますが、ひったくりは、盗んだものを返しても、被害者の方に生じた身体への危険と恐怖心は消えません。
最近、国選弁護で窃盗罪を選択したらひったくり事案にあたる確率が高くなってきましたが、万引きなどとは一線を画する、非常に危険で悪質な行為であることを被告人の自覚させ、十分に反省させることを意識して弁護活動を行っています。
今日の事件では、「強盗にならないよう細心の注意を払った」という良心のかけらを有する被告人だったようですが、残念ながら、これは裁判上有利情状として斟酌されないと思います。
ひったくりが厳罰化される背景を考えれば酷な話ですが、評価の対象としてとりあげるべき事項かどうかと言われればひったくりを犯したということのまえではあまり大きな意味を持たないものだと思います。
理由はともあれ、犯罪を犯し、抽象的にも結果を惹起してしまえば、あとで取り返しのつかないことであることをしっかり理解するとともに、被告人に理解させていくことが大事でしょう。
ひったくり事案は窃盗事件の中でも異質で、特に注意を払う必要のある類型です。

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