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2007年11月 1日 (木曜日)

何が典型契約?

裁判で金銭請求をするためには、その債権の発生原因を明らかにする必要があります。
債権の発生原因の基本は契約で、民法には典型的な契約とされる契約の類型が挙げられています。
贈与・売買・賃貸借などは確かに日常よく使用する契約ですが、(裁判外の)和解や終身定期金などは、普通の人であればほとんど使用しない契約だと思い、これを典型契約っていうのはどうか、という感じが否めません。
逆に、日常良く使う書類で「念書」というものがあります。
何年何月何日誰が誰に対していくらの支払義務があることを確認する、という内容が典型ですが、厳密な意味での要件事実をつきつめれば、念書に基づく請求は裁判上できないといわれます。
なぜなら、念書は債権の存在を確認した「証拠」にすぎず、別にある債権の発生原因事実こそが請求原因事実だからです。
ただ、疑問に思うのは、和解契約の大半は、もともとある債権を分割したり、一部減額したりして契約にいたるものがほとんどで、その契約によって新たな債権を発生させるものではないものが多いです。
それゆえ、和解契約書は実質的には念書と対してかわらないもので、双方当事者の譲歩のあった和解契約は請求原因事実になって、譲歩のない念書は純然たる確認行為にすぎず、請求原因事実にはならないというのはおかしな話です。
そこで、念書では遅延利息は普通計算されておらず、遅延利息の免除をもって債権者の譲歩とみて和解契約に基づく請求、という考えは、屁理屈ですが、良い考え方だと思います。
念書の成立に争いがなければ、それが直接債権を発生させるものではなくても、債権の権利自白が裁判上認められなくとも、請求原因事実として良いきがします。
しかし、契約には常に詐欺取消や錯誤無効などの主張がつきまといます。
これらにより、契約の成立に争いがある場合は、もともとの債権があったかどうかが最も重要な間接事実になるため、念書であろうと和解契約であろうともともとの債権の発生原因事実を請求原因事実にすべきではないかと思います。
ややこしい話ですが、その原因は民法の規定した典型契約が、本当に典型的でないものが含まれ、典型的なものが含まれないことが一つの原因としてありそうです。

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