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2007年11月19日 (月曜日)

詐欺を異常だと思える環境

「これって詐欺ちゃいますの?」
法律相談でよく聞かれますが、「ええ、詐欺です」と答える場面はあまりありません。
詐欺の成立要件として「欺罔行為」が必要ですが、ただだました、ただウソをついただけでは犯罪ではありません。
だまされただけ、あるいは、だまされて損しただけで、詐欺だと思う人は多いですが、そうではなく、一般人の「詐欺」の概念と現実の構成要件とが、大きく乖離していることを物語ります。
民事の債権回収の場面でも、契約代金を払わない相手に立腹し、代金回収できないなら、せめて詐欺で立件して相手を刑務所に入れてほしい、という相談をしばしば受けますが、契約当時から代金を払う意思がなかったと証明するのは困難ではないか、という事案がほとんどで、興奮する依頼者をなだめるのには一苦労します。
欺罔行為と損害が一連となって構成要件に該当する犯罪ですが、現実の一般人の感覚では、そのいずれかがあれば、詐欺ではないかと思っているのが実情のようです。
その背景には、社会生活の中でウソを言うひとなどあまりいない、ウソをつくやつは非常にけしからん、という虚言者の概念と、自分が普通に生きていて、こんなに損害を受けるはずがない、誰かが犯罪を犯したからこんな変な結果になったに違いない、という自分に対する認識が大きく影響しているように思います。
現実には、ウソをつかない人間はほとんどいませんし、誰も悪くなくても不慮の事故や悪意のないすれ違いから痛手を被ることはしばしばあります。
刑法典にはこのような可能性を十分に考慮に入れたうえで、処罰に値する行為を厳密に判定しようという狙いがあるのでしょう。
それと比較すれば、先に述べたような一般人の社会感覚はいささか幼稚なものの様にも見えます。
しかし、それは、日本という国で生きていくうえで、周囲の人間にそのように油断できるということ。
刑法の考え方と一般人の考え方がいくら乖離していようと、自然とそう思える環境の方がはるかに大事です。
その意味で、詐欺を異常だと思える平和な社会が続くことを願ってやみません。

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