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2007年11月20日 (火曜日)

クレーマー対策は永遠の課題

あまり考えたくはないのですが、訴訟を起こす人の中には、弁護士や裁判所を欺いて、自分に有利な結論を得ようとしたり、弁護士を矢面に立たせることで、クレーマーでないかのような外観を装うクレーマーもいます。
一昔前であれば、そのような怪しい依頼者は門前払いし、正当な依頼者だけを相手にする弁護士がほとんどでしたが、弁護士大増員に伴う仕事の偏在や、弁護士業界全体のレベルの影響か、そのような事件を受任し、平然と裁判で争うことが多くなってきたようです。
正直、私も未熟ゆえに、安易に勝てると考えて、あとで失敗した、と思うこともあるのですが、依頼を受ける立場として、依頼者の言い分の疑問点を強く追及できない場合があることはしかたのないことです。
また、話を聞いていて、あまり信用できないな、と思っても、それが真実であれば、それを信用して法益を保護してあげられるのは弁護士だけですので、弁護士は自分の良心をこえた範囲内で、依頼者・相談者を信用すべき立場にあります。
そのような事情と、現在の弁護士業界の流れからすれば、弁護士が、クレーマー案件に歯止めをかけることには限界があるように思います。
クレーマーだとわかった段階で辞任して、裁判所が本人に訴えの取り下げ勧告をして終わり、というのであればまだマシですが、法律扶助案件や国選弁護でクレーマーを引いたときは、簡単に辞任もできず、どうにもならない状態に陥ります。
法律扶助や国選弁護は、金銭に余裕のない人に対しても弁護士が手助けできるよう整備したすばらしい制度なのですが、その裏で、本当にお金に困っていない人が、ローコストで、不当な裁判をしようとして利用されているのは悲しいことです。
そういうもろもろの理由により、クレーマー案件に対して、不必要なエネルギーを投資しないためには、裁判官が早期に事案の実体を把握し、クレーマー側に、無益な争いをやめるよう説得するという協力を仰がざるをえない面があります。
ここに、裁判官の真の実力が反映されていると最近よく思います。
部総括判事クラスになれば、この点はきちっと指摘し、余計な仕事はしない、という人が多いですが、年配の弁護士に対しては、怪しい弁護活動をしていても、何も言わない傾向はあります。
右陪席クラスでは、「裁判所の心証は・・・だから」の一辺倒で、敗訴予定者の言い分をねじふせることしかできない人もたくさんいます。
弁護士も裁判官も「自分ではこう思うが、ひょっとして違っていた場合の責任が大きいから・・」と考えてしまうのはある程度やむをえないことなのかと思います。
不当な裁判を減らすためには、弁護士も裁判官も自分の良心に従った仕事を自信をもってできるよう、日々研鑽し、記録を読み込まねばならないのでしょう。

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