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2007年10月 3日 (水曜日)

さすが高裁裁判官!

離婚案件は数ある紛争類型の中でも最も激しい争いになりうる案件です。
離婚案件の流れは家裁で調停をした後、家裁で裁判をし、不服があれば高裁に控訴し、(ほとんど相手にはされないが)最高裁に上告することもできます。
同じ裁判官ですが、やはり事件処理の手腕は高裁弁護士の方がはるかに上であると感じます。
もちろん、家裁の裁判官よりも高裁の裁判官の方がキャリアがあり、裁判官の中でもエリートコースを歩む優秀な人が多いのですが、家事事件の処理は優秀な人の方がうまく処理できるというわけではありません。
要件事実よりも感情を表に出した当事者が多いため、理屈よりも、屁理屈をこねてでもいかに当事者に納得させられるかの方が重視されるからです。
そう考えると、当事者に年齢が近く、日々家事事件を取り扱い、家事事件慣れしている家裁裁判官の方がうまく当事者を操れるのかな、と考えていました。
しかし、家裁裁判官は、確かに知識や手続はよく知っているものの、いざというところで、当事者を説得しきれず、「手続の限界」とか「感情的になると損するよ」というところで、説得を試みようとします。
当事者にとっては裁判所の手続がどうとか、関係ないわけで、また、損を承知で自分の心の充足を求めようとしている人も多くいるため、そのようなところに突破口はなかなかないような気がします。
また、調停や和解に際しては、当事者の様々な思惑が行き交っていたのを知りつつ、裁判所が関与する部分の減少に努めすぎ、当事者の意向を十分に反映しない最小限度の調停条項で調書をまとめてしまうケースが最近非常に多いです。
私の担当案件で、裁判所の調停調書の文言の解釈をめぐって、調停に至って経緯から争いになっているケースがありますが、このようなケースを生じさせた責任が家庭裁判所にはあると思いますし、今後も増えていくのではないかと思います。
それに対し、高裁裁判官は、実際に当事者に会って話をする前に、当事者がどういう人間でどういう考えをするか理解している場合が多いことに驚きます。
そのうえで、当事者の抱える問題点にきちんと面と向かって話をし、落ち着く点に向けて
話を丁寧に進める姿には、尊敬と、自分もこうありたい、という思いを抱きます。
また、当事者が今後どこでもめうるかも把握し、必要な部分については、当事者にきちんと平易な言葉で念押ししたり、和解調書を詳しく書いたりする工夫も文句なしの仕事です。
この仕事をうまくこなすコツは知識の必要性もさることながら、人を理解することがやはり根底にあるべきなのでしょう。
場当たり的に事件をこなして、事件処理のマニュアルを体に叩き込むよりも、人を直視し、その人を理解し、どうすればうまくいくか考えていくことのほうが事件処理能力はあがりそうです。
今後意識して仕事にとりくんでいきたい部分です。

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