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2007年10月 4日 (木曜日)

勝訴可能性と回収可能性

事件によっては、判決で全面勝訴しても根本的な解決にならないものもあります。
判決で勝っても相手がお金を持ってないので、払ってもらえない、強制執行の対象がわからないため、執行できない、というのが最も多いパターンです。
弁護士は、依頼者の要求を充足できない事件は受けてはいけないので、法律上、証拠上勝ち目のない事件は受けません。
これは、弁護士倫理の教育が行き届いているせいか、大多数の弁護士は遵守しています(単に、成功報酬がもらえないことがわかりきっている仕事をするのが馬鹿らしいだけかもしれませんが)。
しかし、判決で勝てる見込みがあればすぐに受任し、執行可能性まで考えない弁護士はしばしばいます。
相手に資力があるかどうかは、相談の初期段階で確認し、把握すべきことですので、判決に勝った先に現実に金銭を回収できるかどうかまで考えて事件は受任すべきです。
私も、6000万円の債権回収事件を依頼され、証拠書類を見て十分に全部勝訴判決をとれると考えた際、思わず心の中で「大型案件キターーーー」と叫びましたが、相手の資産状況を聞いてみると惨憺たるもので、着手金だけもらって画餅の判決をもらってもかえって依頼者に負担をかけるだけ、と思い、丁重に受任を断ったことがあります。
特に一般法律相談では、2~30分の相談の中で事件の概要を把握し、依頼者に何らかの回答をしなければなりませんので、なかなか相手の事までは気がまわりませんが、「判決に勝つ」のが目的ではなく、依頼者の「正当な要求を充足する」ことだということを常に意識していかねばなりません。
依頼者の要求が法律上正当なものか→諸般の事情を考慮し、その充足の見通しがあるか→受任→的確な見通しのもとで、最も依頼者に負担の少ない方法でその要求を最大限に充足する
これがあるべき事件処理のアウトラインである気がします。
我々若手弁護士は、事件を「なんとか処理」することで精一杯でなかなかプラスアルファの実現が困難ですが、他の弁護士のまずい弁護活動を見た際などには、それを反面教師に、自らのあるべき姿を貪欲に模索していかねばらなないと思い、改めてその事を感じました。

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