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2007年7月26日 (木曜日)

裁判所が詐欺?

裁判上の和解は、民事裁判の中で最も多い解決方法です。
裁判官が判決を書かずに済むなど、仕事の面でのメリットも大きいのですが、当事者にとっても、判決で解決するよりも費用や早期解決やリスク回避など、様々なメリットがあると言われます。
裁判上の和解が真の事件解決になるためには、当事者の納得が当然の前提となります。
和解は当事者双方が自分の希望を一部断念することになるので、そう簡単に当事者は納得しません。
それゆえ、和解成立のためには、いかにそれをのむことが依頼者に有利であるかを丁寧に説明のうえ、きちんと納得していることを十分に確認すべきです。
しかし、ほとんどの和解は、裁判官が心証を開示して、判決になったらこうなるから、この内容で和解した方が良い、という流れでやむなく成立するものです。
これは、裁判官の心証が判決内容と一致している限りにおいては、確かに合理的な事件解決で、この段階にいたっては和解を勧めることは決して問題ではないと思います。
しかし、裁判官の和解案と判決内容はしばしば異なるため、必ずしも裁判所和解案に応じるべきとのルールは成立しません。
私が過去に経験したある被告側事案では、尋問終了後裁判官に、和解案Aを提示され、判決になったらこれよりひどくなる可能性があるから依頼者を説得しなさい、とはっきり言われたことがあります。
明らかにおかしいと思い和解案を蹴ったところ、現実に出た判決Bは、和解案Aよりもはるかに依頼者に有利なもので、尋問終了後にこのように現実の判決Bと大きく異なる心証を開示され和解勧試するケースもあるのだと、裁判所を全面的に信用してはいけないことを学んだ1件でした。
この流れを改めて見れば、裁判官による詐欺未遂の構成要件を十分に満たすものではないかとさえ思います。
話が違うぞ、と、原告が控訴した2審では、受命裁判官による和解勧試の中で、「確かに判決はBになるんだが、法曹は法律に従った形式的な結果に拘泥せずに、人情的な面もふまえ、ある程度判決結果に上乗せしてでも平和的に解決させるのが使命だと思わないのか?」と、よく分からない説教をされました。

予想される判決内容をふまえ、遅延利息を含めその全部を受け入れるところまで依頼者を説得してなお、裁判官に「それでは話にならない」と言われたのは私にとっては全く前代未聞のことに思います。
通常は、訴訟で丸山弁護士風の人情論を展開しても「裁判所は要件事実のみ判断しますから・・」と冷たいのに、和解を成立させたいときは裁判所も人情論を持ち出すものだと、通常と異なる意味で感心しました。
前にも書きましたが、裁判上の和解では、裁判官の心証には逆らえないという当事者のウィークポイントにつけこみ、他にとるべき手段のない状態で同意させられてしまうケースが少なくないのではないかと思います。
法律に最も厳格であるべき裁判所での和解に意思表示の瑕疵があり、違法状態があるとは、裁判所は絶対認定しないでしょうが、このような和解勧試をする裁判官がいる以上、弁護士はきちんと依頼者の真の納得を追及すべきです。
和解が成立すれば仕事が減って楽なのですが、そのような理由で安易な和解を勧めず、事件に対する信念をもってその処理にあたるべきだと再確認しました。

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コメント

杉本君、元気でやっているようで何よりです。
てっきり東京の大手事務所か裁判官あたりになっていると思っていたら、地元の関西で活躍していたんですね。
杉本君ならきっと困ってる人の気持ちをくみとり、精一杯の仕事をしてみせるいい弁護士になると思います。
今後のご活躍を期待しています。

投稿: マッツ | 2007年7月29日 (日曜日) 21時26分

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