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2007年7月18日 (水曜日)

事件処理はパズルのように

事実関係に争いのない事件は、弁護士が介入する案件では少なくなく、事実認定が我々の仕事の大部分を占めることは仕方のないことです。
事実を把握するためには、まず、第1段階で当事者間に争いのない事実を整理し、第2段階でこれと書類の客観的部分とを照らし合わせて検討し、最後に主観的な供述証拠を加味して総合的に判断します。
この事実は争いなく、これとこの書面をふまえてこう認定するのが自然だから、この人の供述は裏付けがあり、全体的に信用できる、などと、組み合わせと段階的な検討をしていくのはまるでジグソーパズルを一つ一つ照らし合わせていくような感じがします。
ところで、最近担当になったとある事件で、5名の契約当事者がでてくるのですが、5名とも異なる内容の主張をしており、互いに矛盾している、という事件があります。
5名全員に争いのない事実は、本当に前提のごく一部の事実のみで、争点についての主張は芸術的に異なっています。
そうなると、書証が頼りになりますが、書面も作らずになあなあな関係で話を進めていたため、証拠がほとんどでてきません。
証拠がないことをいいことに自分に最も都合の良い主張をしている人がいるのではないかと疑いたくもなります。
そういうわけで、真実は何か、誰の主張が信用できるかを判断する材料が決定的に不足しており、大変な仕事だと感じています。
とりあえず、個別の相手方との2者間で話をそれぞれつめていき、できるかぎり争いのない事実を増やし、描くシナリオを地道にすりあわせていこうと考えています。
このような状態では、現時点では裁判にはもっていけませんが、任意の話しあいでは「一般人の考える事実認定のルール」と「裁判所の事実認定のルール」のいずれを採用するかで折り合いがつかないこともあり、一層大変です。
弁護士になった当初は、事実認定の構造把握がなかなかできず、なんでもかんでもとりあえず裁判所に提出して、頭のいい裁判官のパズルを解いてもらう感じでしたが、代理人がわかっていないことを裁判官が理解するのは難しい、ましてや裁判員ならなおさら、と考え、最近では遅くとも陳述書提出時点において、間接事実の構造を整理し、最終準備書面がかける状態にするよう心がけています。
昨日の記事のように、後でできることを早め早めに行うことにより、争点整理がはかどるのはやっていて気持ちが良いです。
事件のパズルを解くのは最終的には裁判官ですが、先に解いてしまい、裁判官に全て答えを教えられる弁護士こそ優れた弁護士だといえると思います。
非常に実現の困難なことですが、最近はこれを意識して仕事をするようにしています。

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