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2007年7月 9日 (月曜日)

企業社会は会社法通りに動いていない

国内だけでも無数の会社があります。
この「会社」に関する法律として、少し前までは「商法や有限会社法」が、今は「会社法」があります。
我々弁護士の仕事は、この会社法に則った会社運営の指導、法律違反行為の指摘及びそれに伴う紛争解決が主なものとなります。
商法を勉強していないと司法試験に合格することはできませんので、大多数の弁護士は商法及び会社法の基礎知識は身についています。
しかし、基礎知識だけでは全く会社法務には対応できません。
この意味は二つあります。
まず、大規模会社の会社法務については、会社法の基礎知識だけでなく、会計・税務・無形財産等の専門的知識も必要となりますし、M&Aや清算等についての深い理解が必須となります。
これとは全く逆に、小規模な親族会社では、会社法の規定に則っているのは、法務局等の審査のあるごく一部に限られ、大多数の場面で会社法に則った運用はなされていません。
株主総会は開かれない、株券も発行したことがない、株主名簿も作らないまま、権利移転する、金銭の移動関係が全くあやふやである・・・こんなことはざらにあります。
このような会社に対し、逐一適正な運営指導をするのも大変ですし、事後の裁判になるともっと大変です。
真実は上記のような実態であっても、「株主総会を開催しない慣行があったとは俄には信じがたい」「書面作成を省略する実態があったとは認められない」と、経験則だけで事実認定上不利益をうけやすいです。
会社法の想定したスタンダードな会社が現実には割合的に多くなく、これを逸脱した巨大会社と、これを潜脱した零細企業への応対が弁護士の役割の大半を占めていることも事実でしょう。
スタンダードなケースを想定した法律がスタンダードなケースで使われにくい、というのは奇妙な構造ですが、この点についてはこれを使う我々の側で弾力的かつ精力的に、その使途を検討していくことにより対応していくべきものなのでしょう。
会社法が全体的に運用の柔軟化をすすめているのも、立法者から我々法曹界による運用への期待をこめられたものだと考えたりします。

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