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2007年6月 8日 (金曜日)

請求原因の認否、積極否認、抗弁

とある法廷での出来事。

原告代理人である私は

(主位的請求) 動産返還返還請求

(予備的請求) (動産を既に処分していた場合)価格賠償請求

の内容で訴状を提出しました。

要件事実は①原告の目的物所有②被告の目的物の占有③目的物の価格、といったところで、比較的シンプルな訴状となりました。

これに対し、本人で応訴してきた被告は第三者の書いた処分同意書を証拠として提出し、答弁書には同意書があるから不当訴訟であると一言書いてあるのみ。

相手に請求原因の認否をさせて、主位的請求か予備的請求かを確定して準備書面の作成を私は予定していましたが、裁判官は漫然と「原告代理人、次回期日までに主張書面を用意しなさい」と指示してきたので、驚きました。

裁判官としては抗弁の成立を確信したのか、請求原因事実の認否未了を見落としたのか、本人訴訟であることを考慮したのか知りませんが、請求原因事実の認否を確認せずに審理を進める裁判官には今後お目にかかれないかもしれません。

裁判所は裁判に足りないパーツを弁論の全趣旨とか、間接事実からの推認とかで補充して妥当な結論を導こうとしますが、抗弁の主張→請求原因の自白ととらえてよいと考えたからではないかとも思います。

ところで、自分の事件の審理がまわってくる前の事件では、ある主張が抗弁なのか積極否認の事情なのかが争われていました。

抗弁と積極否認の違いは、法律を勉強している人には常識的事項になりつつありますが、前者は主張者に立証責任があるのに対し、後者は相手方が否認された事実の立証責任があることが最も大きな違いです。

この違いは、現在の事実認定の方式では結果的に大きな差違を生じる事件はそれほど多くないのではないかと言われています。

しかし、上記のように抗弁の主張を、請求原因の自白と同様の扱いにする考えが定着するようであれば、抗弁が積極否認かで、請求原因事実に対する態度が180度変わってしまっており、看過できない差となります。

足りないパーツを補う裁判所の能力には脱帽するものがありますが、請求原因事実の認否など、簡単に確認できることはきっちり確認して丁寧確実な審理を願いたいところです。

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