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2007年3月14日 (水曜日)

法律上の請求原因を構成しない言い分

紛争の背景には当然のことながら様々な当事者の言い分があります。

言い分同志が真っ向から対立している以上、紛争を解決するためには、一方または双方の言い分を退ける必要があります。

当事者の言い分が要件事実に則る場合、結論は明らかなので、事件解決は比較的容易です。

逆に、当事者の言い分が要件事実に則らない感情論の場合、裁判等によって当事者の利益を確保することが予め困難ないし不可能であることが明らかになっていますので、このような事件を受任することは、「弁護士の金儲けのためだけ」と誤解される可能性があり、受任を回避すべき倫理規定があります。

問題なのは、当初の打合せではまともな言い分があると思っていたが、途中からとんでもない矛盾証拠がでてきた場合や、言い分が感情論に変遷する場合などです。

この場合、依頼者に言い分を後退させるよう説得をしなければならないのですが、そのやり方は弁護士によって千差万別で、このやり方次第で弁護士と当事者の信頼関係が大きく左右されます。

忙しい弁護士は、裁判上採用されにくい言い分については早期にハッキリその旨告げて譲歩させます。

最も解決の早い方法で、裁判所や相手代理人には喜ばれますが、自分の言い分をまともに聞いてもらえず、相手の言い分を押しつけられた当事者の無念さは計り知れません。

逆に、常に依頼者の最大の利益を追求するバリバリの真面目弁護士は、要件事実に絡まない言い分でも無理矢理当事者の主張につなげ、時間をかけてでもしつこくよりよい内容の和解を追及します。

これによって、自分の言い分を聞いてもらえた依頼者は嬉しいでしょうが、反面で、相手や裁判所は多大な負担を被り、最終的に依頼者の利益になるかも不明です。

要件事実を充足する言い分については貪欲に依頼者の利益を実現すべく頑張るべきでしょうが、そうでない言い分についてどのように依頼者に納得してもらってこれをひっこめさせるかの方が弁護士の資質を問われる重要な仕事のようです。

なお、この世界、要件事実を充足せず、かつ、全ての言い分を無効化する最強のカードが存在します。

「金がない」

どんなに不利な証拠が揃っていようと、どんなに言い分がなくとも、この最強カードの登場で全てが無に帰します。

私もお金のない人の弁護活動はいくらでもしますが、お金のない人相手の活動はあまりしたくありません。

貧乏人が最強を極めるこの世界はまるでトランプゲームの大富豪のような一発逆転のスリルに満ちた空間のように思えてきます。

格差拡大社会の中で、とんでもないトラップが隠されていたものだと感心します。

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