« 弁護士と携帯電話 | トップページ | NHKから全国へ »

2007年1月23日 (火曜日)

刑事司法の前向き?後ろ向き?

法務省は本日、犯罪被害者対策の一環として、保護観察となった加害者に、被害者側の心情を伝える制度を創設する方針を固めました。

 被害者の精神的なケアが最大の目的ですが、罪の重さを自覚した加害者の更生につながることも期待しています。

25日召集の通常国会に提出する更生保護法(現行の犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法を統合)に盛り込み、年内の運用開始を目指すようです。

 新制度は、新たに置く被害者担当の保護観察官が被害者の心情を聞き取り、加害者担当の保護観察官を通じて加害者に伝達する仕組みで、被害者側は本人のほか、遺族、親族などを対象とし、罪の種類は特定しないようです。

ただ、犯罪を思い出すことによる精神的な二次被害の恐れもあるため、保護観察所が加害者の刑確定以降に被害者の意向を確認し、希望する場合だけ実施するようです。

被害者の刑事司法への参与は常に大きな問題としてつきまといますが、この制度により、わずかながらも前進するのであれば、良いことだと思います。

現実には、保護観察所による裁量の幅が大きそうですが、前向きに制度の改善につなげてもらいたいものです。

他方で、早くから今国会での成立が企図されていた共謀罪の成立は見送られそうです。

同様に刑事事件の現場から要望がでた法案で、法の執行者による裁量の幅が大きいものですが、前者は問題改善に向けた前向きな法案で、裁量逸脱のあった場合の弊害がそれほど大きくないと予想される反面、後者は憲法上の権利と抵触するおそれがあるうえ、裁量逸脱があった場合の危険が大きいと考えられていることの証左ではないでしょうか?

刑事司法においてはまだ刑務所や代用監獄の問題、取り調べの可視化の問題など日々多くの問題がメディアで報道されています。

これらは結局、まず法が改正されなければどうしようもないことですが、世論を形成するにあたって、現場の知識が不足しているという点に前提レベルで大きな問題があると思います。

今後の裁判員制度の開始や、それに伴う裁判関連施設の見学等が増えることにより、少しでも刑事司法の実態が一般市民に知れ渡ってからが本当の制度改革の始まりだと思います。

法曹三者から見れば、余計な手続が増えてやっかいになる場合が多いですが、これに積極的に順応していくさらなる意欲をもって、仕事に励まないといけないと思います。

|

« 弁護士と携帯電話 | トップページ | NHKから全国へ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 刑事司法の前向き?後ろ向き?:

« 弁護士と携帯電話 | トップページ | NHKから全国へ »