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2007年1月25日 (木曜日)

低額の罰金刑が予測される刑事事件

刑事裁判は、ニュースで報道される連続殺人事件から、そんなんで処罰されるの?と言いたくなる軽微な事件まで様々です。

このうち、軽微な事件については、自白していれば、略式起訴のうえ、簡潔に処理されますが、軽微な事件こそ、「そんなことで処罰されてたまるか」とか、「相手の方が悪い」といった理由で否認する被疑者も少なくないようです。

否認している以上、正式な裁判で事実を明らかにする必要がありますが、現在の裁判制度上は、否認して争った場合の負担が著しく大きく、弁護人としての立場の説明に困る場合があります。

弁護人は、本人が否認している限り、いくら自分の心証が悪かったり、客観的に明らかな証拠が揃っている場合でも、無罪主張をしなければなりません。

そこで、本人と面会して否認だと聞くと、相当の負担の覚悟を決めて、事件に望みます。

軽微な事件でも、否認のうえ無罪主張を貫き通すためには、半年以上の時間と複数名の証人尋問の準備を覚悟する必要がありますが、自白した場合、1回結審で、僅かな罰金刑で済む可能性が高く、本人にも弁護人にも負担が大きいです。

そこで、弁護人が無罪主張の準備をして大量の書証を謄写した後になって、「やっぱり自白して早く終わらせたい」と方針転換する場合があります。

在宅事件ならともかく、身柄勾留中の事件では、第1回公判期日までの未決勾留日数で検察官の求刑金額の充当が済み、即決裁判のうえ、即日釈放が可能という事案があり、この点でも、自白してしまった方が圧倒的に有利という場合があります。

このような刑事裁判の制度上のゲーム理論で、本人の真の気持ちに反して自白が推奨されるという現象は、否認事件の多くが詭弁に終始し、法曹三者の不要な仕事を減らす必要性を考えれば、悪くない面もありますが、やはり釈然としない面が大きいです。

同様に、控訴提起の場面でも、本人は量刑不当の気持ちが強いが、控訴提起に伴う未決勾留日数分の損を考えると控訴しない方が得策という計算が働き、控訴を断念するケースもあります。

このように、現在の刑事裁判の制度が、「法廷での争いを減らす」方向に構築されている点には長所・短所共にありますが、この制度が機能するかどうかは、如何に充実した捜査・取調が裁判前になされ、その裁判官が裁いても、ほぼ一致した結論になりそうな程度に基礎が固められているかどうかにかかっていると思います。

同様の事は民事にもあてはまり、結論が明らかな程度に主張・証拠を整理できれば、予測される判決内容を基礎に、和解で早期に解決することも容易になると思います。

法曹人口が増えていくなかで、余計な雑務を減らすためにも、下準備が非常に重要になってくることがよくわかります。

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