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2006年10月 2日 (月曜日)

慰謝料請求訴訟はボランティア?

他人の心ない行為に傷つけられたので、訴える!というのはよくある話ですが、慰謝料請求訴訟では必ずしも原告の満足のいく判断はなされません。

認容額が100万円をこえるケースは非常に少ないのが現状です。

慰謝料額は被告の資力によっても変化しうると考えられていますが、上記のような現状は、裁判所なりの紛争解決可能性(被告の資力にみあった支払をさせる)と謙抑性が現れていると思います。

しかしながら、慰謝料請求訴訟は必ずしも一本道ではなく、相手を話しあいの席につかせるまで、請求原因行為を明確化し、立証したうえで、相手の行為の違法性と責任をつめる必要があります。

これだけでも大変な作業ですが、そもそも相手の所在や、顔すらわからないという場合には、個人情報保護法の網を破り、相手の情報を得るところから始まります。

インターネット上の名誉毀損発言に対して反撃していくためには、①掲示板管理者に対するIPアドレス開示請求の仮処分→②プロバイダーに対する情報開示請求訴訟を経てようやく交渉の席に持ち込めます。

本当に慰謝料請求したい依頼者にとっては気軽に弁護士に委任できる環境がなければ泣き寝入りする結果となってしまいますが、現状では慰謝料請求訴訟をかたちにするのに相当の手間と費用がかかりますので、これが実現できない状況にあります。

法律相談で慰謝料案件について問われても「気持ちはわかりますし、訴訟提起すれば勝訴できますが、勝訴額の見込みを考えるとコストパフォーマンスにあわない」と説明することは決して少なくありません。

これでは良くありませんので、慰謝料の認容額自体がやはりもう少し上昇していかないといけないと感じます。

手間のかかる厄介な事件ですが、個々の弁護士が意識を高くもって1件1件に精一杯のことをしていくことこそ、大事なのだと感じます。

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コメント

確かに、名誉毀損やプライバシー侵害じゃ、100万を超える慰謝料なんか取れませんよね、現実問題として。
でもプロの弁護士さんにアドバイスを貰わないと出来ないような裁判だってあるんじゃないですか?
例えば9月末に大阪地裁から判決が出された「弁護士による守秘義務違反」事件なんか。
アレ、結局勝訴しても20万ですよね。でも地裁には無理と知りつつ150万の請求をしている。印紙代&弁護士費用を考えると大赤字でしょう。しかし、弁護士相手に本人訴訟ってのは・・・どんなもんでしょうか?

私は本人訴訟で勝訴しましたが、“事件によっては民事でも弁護士必須”っていう問題があると思いますね。私がどの事件の原告かは敢えて申しませんが、勝訴したものの即控訴され、控訴審では弁護士会の大物弁護士がズラリと勢ぞろいですよ。控訴人も弁護士、代理人の弁護士が四名。それに裁判官三名に書記官。その中にぽつんと一人素人の本人訴訟。
どうです、笑っちゃうでしょう。このシチュエーション。金がないとこうなるんですね。それに弁護士を敵にまわすとこうなるんですよね。

しかし、杉本さんのように丁寧に現実を伝えることは依頼者にとって「誠実でいい」と思う訳で。あまり説明せずに依頼者に押し切られるまま受けちゃう弁護士だっているでしょうから。

そうなんです、例えば名誉毀損やプライバシー侵害に対して勝訴しても勝ち取ることが出来る金額が少なすぎる裁判があるってことが問題なのかも。

投稿: 斜め35度から | 2006年12月20日 (水曜日) 00時14分

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