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2006年7月19日 (水曜日)

過失犯は難しい

パロマ事件で過失犯の諸問題が話題となっています。

過失がどういうものであるかは、多くの人がほぼ共通した認識を有していますが、いざ言葉にしてみると非常に難解です。

学説で有力なのは、結果発生の予見可能性と結果の回避可能性があることを前提に、この予見義務と結果回避義務に違反して結果を発生させること、という定義です。

スピード違反の交通事故を例に考えると、車の運転手は道路上の危険を予見し、他人に危害を与えてはいけないという義務があり、スピード違反をすれば車の急制動が難しく、他人を死傷させてしまうかもしれないと予見できるにもかかわらず、結果を発生させてしまったとして、業務上過失致死傷罪に該当することとなります。

上記の定義からは、到底予見できないようなところから被害者が突然現れたり、法令を守っていても結果が発生したような場合には罪となりません。

今回のパロマ事件では、当初事故の原因がユーザーの不正改造と認識されていましたので、ユーザーがそのような不適切な取扱をすることまでは面倒みてられない、予見可能性はないとして、無罪となりそうでしたが、機械の老朽化も原因と判明したため、この場合、パロマの過失は認められると思います。

被害者側としては、事故の原因が(他人の)不正改造か、機械の老朽化かで差別されるのは不満でしょうが、現行法ではこのように解釈するしかないと考えられます。

明石の砂浜陥没事故の裁判では、50メートル脇で過去に陥没の発生が認識されていたのに、陥没対策の措置をとらなかったことが義務違反を構成するかが争点となり、陥没発生のメカニズムのランダム性から、結果を予見し、措置を講じる義務まではないとして無罪が言い渡されました。

このように過失の認定は非常に困難であり、捜査も大変だと思います。

本日は実況見分が行われたようですが、まさか、有毒ガスを再発生させはしないでしょうし、どのように見分したのか少し興味があります。

ここで、もう一つ問題となったのは公訴時効の壁です。

ようやくパロマ事故のメカニズムが判明したと思ったら公訴時効にかかり、立件可能な事件は1件のみというのも不合理な気がします。

過失犯は難しいが、比較的軽微な犯罪ということで、大切だが事務的な戸籍取扱事務について昨日書いたのと同じような問題が生じえます。

今回のパロマ事件のような大型複雑過失事件の公訴時効については再考を要するのではないかと感じます。

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