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2006年6月15日 (木曜日)

商事実務の主役は誰か?

今年、大改正がなされた会社法が、施行されました。

従来の堅苦しい制度を一新し、柔軟性のある便利な制度を増やしたうえ、株主の地位に配慮した法改正でした。

これに先立ち、昨年2月には、電子公告制度について、法改正がなされ、インターネットを通じた商法上の公告ができるようになりました。

これも、企業の職務の簡便化、迅速化を見越したものでしたが、この制度を利用したカネボウが大きな問題を抱えることになったようです。

カネボウが営業譲渡の公告をインターネットを通じて行ったわけですが、インターネットを見る機会のなかった株主約500人が、「反対の機会を奪われた」として、反対運動の気運を高めているようです。

今回、このような問題が生じた原因の一つに、株式会社の運営の主役は誰かという問題があります。

現実に経営を行う者、あるいは現実に会社を動かす従業員を主役と考えれば、その職務はできる限り自由であるべきであり、自由に迅速に職務を行える体制が適切といえます。

他方、出資者である株主を主役に考えた場合、株主に不測の損害を与えないよう、会社の職務を監視し、制限を加える方向に制度が構築されます。

結局、どちらが正しいというわけでなく、商法も、新しい会社法も、この二つの要請をバランス良く組み合わせて、妥当な会社社会を運営できるよう、制度が構築され、以降の模索もなされています。

今回、電子公告が認められ、利用されたのはもっぱら会社側の利益を重視した制度でしたが、これが株主の権利・利益と抵触し、問題とあいなりました。

カネボウは法に則った運営をなし、法自体も特に大きな問題を孕むものではない以上、この問題が今後、より大きな社会問題として展開される可能性は低そうです。

しかし、会社業務と株主の利益の調整は株式会社社会の永遠の課題であり、新会社法運営上の問題点もこれから顕在化し、再調整が求められる事態はしばしば起こりそうです。

そんな時に、適切な対応ができるようにするためにも、会社法の理解は、日頃から十二分のものにしておかなければならないと感じました。

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