« 誘導自白 | トップページ | 子供はいかに守られるべきか »

2006年2月16日 (木曜日)

恐ろしや 電子メール

本日の国会で堀江氏の電子メールが公開されました。

内容は堀江氏からあるライブドア職員に対し、武部氏の二男と推測される男に3000万円を振り込むよう指示したものです。

このメールによって、皆さんは「堀江氏が武部氏に3000万円渡すよう会社職員に指示した」という事実の存在が証明されると思いますか?

普通に考えれば「証明される」と答える人が多いでしょう。

電子メールというものは、お互い顔の見えない状況下で、端的に意思を伝達する手段として利用されるため、普通は冗談や狂言としては利用せず、本音を書くものですから、そこに書かれている内容は真実だと考えるのが普通です。

普段の会話で冗談を言う人でも、電子メールや電子掲示板で冗談をいうのはそれほど頻繁にはしないはずです。

裁判上も

「心も体も一つになったんだね」というメールがあれば、いかなる言い訳がなされてもまず肉体関係の存在は認定されるでしょうし、

「俺がお前を楽しませてみせる」というメールがあれば、発信者は受信者に相当の好意を持っていることが認定されるでしょう。

そういうわけで、今回の事件ではメールが堀江氏が作成したものとまで言えれば、まず間違いなく献金事実まで立証されると思われます。

そこで、小泉首相の言う通り、このメールが堀江氏が作成に関与していない偽造のものであるということがない限り、自民党、武部氏の前途は極めて厳しいものとなると予想されます。

このように、電子メールの証明力は素晴らしく、民事事件のみならず、刑事事件においても痴情のもつれが原因と思われる事件においては、被害者の電子メールの確認・保全を重視すると言われています。

民事事件においては、不貞行為に対する慰謝料請求事件における不貞の立証や、婚約破棄による慰謝料請求事件における交際関係の状況の立証(要は行列の出来る法律相談所で取り扱われる事例の争点事実の立証)において抜群の効果を発揮し、電子メールをどれだけ保全しているかは、弁護士としても事件を受任するかどうかの重要な指標としています。

裁判においても、電子メールをたくさん保全している方が有利になりやすいのですが、ここに携帯電話の構造上の妙があり、通常の携帯電話は、送信メールよりも受信メールの方が圧倒的多数保存できるため、送信メールのほうが古いものまで保存されないものとなっています。

自分が昔に何と言ったかは自ら証言台に立つことによって証明できますが、相手が昔何を言ったかは、相手が証言台で話してくれなければ証明できない可能性があります。

それゆえ、受信メールの方が圧倒的に有用であり、裁判において、保存されていた受信メールを証拠として提出すると多くの場合、「自分に有利な受信メールばかり提出しているが、送信メールも出してくれ」と相手に要求されますが、携帯電話の構造上それがかなわないことになったりもします。

というわけで、電子メールの証明力は恐ろしく、裁判にでもなろうものなら出来る限り沢山の電子メールを集めたいところですが、電子メールはプライバシーの塊ですので、人間社会において生活している以上、フェアに集める必要があるでしょう。

不貞を立証するためには相手の電子メールを押さえたいところですが、恋愛関係においてはいかなる事情があろうともフェアプレーが第一にあるべきであり、居間に置かれていた恋人の携帯電話の中身を勝手にのぞいたり、風呂に入っている間にこっそり確認するがごときは、いくらそうしたくとも涙をこらえて我慢すべきでしょう。

慰謝料請求事案となってしまった事件においては、不幸にも、一度は信じた愛がかりそめのものにすぎず、お互いがフェアプレーの精神を忘れてとんでもない状況になったというケースが多いですが、これらの事件を反面教師に、「真実の愛」を求めるためには、多少のことがあっても、フェアプレーを心がけ、その上に信頼関係を築いていくことが不可欠だと感じます。

今回の堀江氏のメールは永田議員が「信頼できる人物1名を介して」ライブドア職員から入手したとのことですが、この電子メールの入手経緯のフェア度が、このメールの作成の真正という最大の争点ともあいまって、今後注目を浴びることでしょう。

|

« 誘導自白 | トップページ | 子供はいかに守られるべきか »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 恐ろしや 電子メール:

« 誘導自白 | トップページ | 子供はいかに守られるべきか »