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2006年2月10日 (金曜日)

個人情報保護法の弊害

プライバシー権といえば、厳密に考えるともの凄く難しい権利ですが、誰もが知り、主張する権利だと思います。

プライバシーと聞いて、今なら加護亜衣がファミレスで喫煙していたという著名人の私的事実を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、ここでは、身近な話題として、ダイレクトメールや迷惑メールが発送される原因となる、住所やメールアドレスといった情報の漏洩問題を思い浮かべて考えてもらいたいと思います。

個人情報保護法は、このような個人情報の大量漏洩問題が多発したことから、個人の基本情報を守るために制定され、昨年4月から施行されています。

その内容はおおむね、予防的なもので、情報を漏らしてはいけないという規定のほか、情報漏洩前の管理措置を主に規定したもので、罰則自体はあまり重くありません。

私の仕事にも、しばしば個人情報保護法を守るためには、どのような活動をすれば良いか、という相談があるほか、事務所としても、業務のためにやむを得ず取得する個人情報の管理を意識して行っています。

個人情報保護法に従うためには、出来る限り情報を持たないことが何よりですが、情報は極めて高い価値を有するものですので、なかなかそういうわけにはいきません。

一方で、個人情報が流出した場合、損害が計り知れないものとなる可能性があるため、今回原則として、個人情報の流出が禁止されたわけです。

といっても、情報によっては、機関等によって共有されることが公共の利益となる場合がありますから、このような場合は例外的に取得が認められます。

今日のニュースで、公共機関が病院に癌患者のデータを開示するよう求め、個人情報保護法をたてに断られたケースが多々あるとありました。

癌の研究のためにその情報を開示することは法律上はっきりと認められているため、この場合、個人情報保護法違反にはなりません。

しかし、このような事が起こるのは、個人情報保護法が社会に正確に理解されていないことの他にも、癌の情報は重大だから、うかつに開示したら大変なことになる、という意識が働いたものだと思われます。

確かに情報が一度流出してしまえば、回復は難しいので、情報開示に積極的であるなかれ、という意識は正しいと思いますが、それがこのように有益情報の共有を阻むというかたちで、現れるのはいささか残念です。

私の仕事においても、弁護士から要求された情報を開示する義務のある業者に、個人情報保護法を盾に情報開示を拒絶された例もあります。

個人情報保護法の理念は極めて素晴らしいものですが、それがこのような不当な情報開示拒絶につながるのでは、悪法と言われても仕方のない事かもしれません。

なんとか多くの人に個人情報保護法の正確な内容を理解していただき、その理念を最大限に発現させ、弊害をなくせるよう、根気よく、丁寧に依頼者には説明していきたいと思います。

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コメント

私も同じことを感じています

投稿: 弁護士AN | 2006年2月16日 (木曜日) 11時08分

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